欅坂46/富士急ハイランド・コニファーフォレスト

欅坂46/富士急ハイランド・コニファーフォレスト
●セットリスト
1 サイレントマジョリティー
2 世界には愛しかない
3 二人セゾン
4 青空が違う
5 僕たちの戦争
6 渋谷からPARCOが消えた日
7 ひらがなけやき
8 僕たちは付き合ってる
9 大人は信じてくれない
10 エキセントリック
11 また会ってください
12 制服と太陽
13 微笑みが悲しい
14 割れたスマホ
15 語るなら未来を…
16 誰よりも高く跳べ!
17 手を繋いで帰ろうか
(Encore 1)
EN1 誰のことを一番 愛してる?
EN2 不協和音
EN3 W-KEYAKIZAKAの詩
(Encore 2)
DEN 危なっかしい計画


「突然ですが、質問があります。私の一番嫌いな言葉を知っていますか? それは……は・い・ぼ・く。『敗北』です! 私、絶対に負けたくないんです。この夏、どのイベントよりも、欅坂のライブを一番にしたいんです。そのために、『国民』のみなさん、協力してくれますか!」
序盤から満場のオーディエンスに挑むように呼びかける守屋茜の言葉に、富士山の麓に怒濤の大歓声が広がる――。

今月19日に1stアルバム『真っ白なものは汚したくなる』をリリースしたばかりの欅坂46がここ富士急ハイランド・コニファーフォレストにて2日間にわたって開催した、自身初となる野外ワンマンライブ「欅共和国 2017」。
なぜ欅坂46にとって初野外ワンマンとなった今回の2DAYSライブが「欅共和国 2017」という、アイドルグループらしからぬものものしいタイトルだったのか――それは、このライブが彼女たちの、そしてこの2日間に集まった計2万5千人のファンにとっての「独立記念日」だったからに他ならない。何からの? 自分が前へ踏み出す上での最大の手枷足枷となっている「常識」や「既成概念」からの独立であり、さらには「変化を恐れる自分自身」からの独立でもある。
もちろん、この「欅共和国 2017」は極論してしまえば単なる「ひとつのコンサート」に過ぎない。が、ただ「大観衆が集まって楽しい一夜を共有した」というだけでは到底収まらない、観る者の中に息づく蒼き衝動、自分を変えたいと願う切実なエモーションを、どこまでも鮮烈な形で可視化したような痛快な解放感が、この日のパフォーマンスには確かにあった。

欅坂46/富士急ハイランド・コニファーフォレスト
ギリギリ雨こそ免れたものの、あいにくの曇天の状況下でスタートした「欅共和国 2017」2日目。赤・青・白でデザインされた「欅共和国」のフラッグを掲げて入場行進してきた欅坂46。行進の最後、フラッグを放射状に構えるメンバーの中央で、高々と指揮杖を掲げる平手友梨奈――このライブをひとつの「革命」としてポップ史に刻もうとする彼女たちの情熱が、そんなオープニングの場面からも窺えた。

欅坂46/富士急ハイランド・コニファーフォレスト
早着替えを経て“サイレントマジョリティー”から“世界には愛しかない”、“二人セゾン”と冒頭からシングル曲を3連射。ライブ冒頭から舞台を覆うように水柱が噴き上がったり、“世界には〜”の最中には志田愛佳&渡邉理佐が客席へ大量放水したり、来場者に配られた色とりどりの風船が志田の合図とともに空へ打ち上げられたり――といった極彩色のパフォーマンスと演出が、1万人以上の観客を熱く煽り立てていく。
欅坂46/富士急ハイランド・コニファーフォレスト
欅坂46/富士急ハイランド・コニファーフォレスト
“青空が違う”から流れ込んだ“僕たちの戦争”で文字通り(?)水鉄砲乱れ撃ち状態に突入したユニット曲のコーナー、ハーレーのバイクにタンデムスタイルで登場した平手ソロ曲“渋谷からPARCOが消えた日”に続けては、けやき坂46による“ひらがなけやき”へ。MCでは目の前にそびえる富士山めがけて佐々木久美が「ひらがな最高!」と叫び、やまびこよろしくファンのレスポンスが沸き起こったところで、さらに“僕たちは付き合っている”を披露……と目まぐるしく繰り広げられるアクトを、メインステージのみならず、客席を貫くように設置された花道とその途中のセンターステージ、舞台袖からハの字型に伸びた花道を駆使して展開。「共和国」の一体感を刻一刻と高めていく。
欅坂46/富士急ハイランド・コニファーフォレスト
ここでグレーのコスチュームに着替えた欅坂46が再び登場、“大人は信じてくれない”、“エキセントリック”とハード&アグレッシブなナンバーを畳み掛けると、会場の熱気はさらに密度を増していく。青春的なレジスタンスあふれるナンバーをシングル表題曲やカップリング曲として次々に発表し、強烈な世界観を構築し共有してきたことが、オーディエンスの熱い掛け声や歓声からも伝わってくる。
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長濱ねるソロ曲“また会ってください”から続く“制服と太陽”にかけて、今度は“二人セゾン”の衣装にチェンジ、ユニット曲を経てライブは一気にクライマックスへ! “語るなら未来を…”のパワフルなダンストラックとパフォーマンスに巻き起こった狂騒感が、欅坂46&けやき坂46合体編成でのダンスアクトによって天井知らずに昇り詰めて、そのままけやき坂“誰よりも高く跳べ!”へ――というスリリングな流れの後、本編のラストを飾ったのは“手を繋いで帰ろうか”だった。メンバーが花道いっぱいに広がる舞台を隅から隅まで歩き回りながら、はちきれんばかりの切なさと多幸感を体現する菅井友香&守屋の姿が、富士山麓の夜空すら割れんばかりの大歓声を誘っていた。
本編エンディングは再びマーチングバンド仕様。最後、舞台にひとり残った平手がフラッグを構え、天空に手をかざすのを合図に花火が炸裂! 気高いくらいの凜とした美しさを感じさせるフィナーレだった。
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熱烈な手拍子とコールに応えてスタートしたアンコールは、なんと坂道AKB乃木坂46/欅坂46/AKB48メンバーによるコラボユニット)の楽曲“誰のことを一番 愛してる?”の欅坂バージョンからスタート。そして、ここで最新シングル曲“不協和音”! 激しいダンスパフォーマンスが、そして最後のサビ前で平手が突き上げた「僕は嫌だ!」のシャウトとそれに合わせて轟いた特効の花火が、すっかり陽が落ちたコニファーフォレストをなおも熱く奮い立たせていく。

「今回、『欅共和国』に向けてリハーサルしたりとか、今日本番を迎えて……『やっぱり欅坂が大好きだなあ』って思ったよね」と感慨深げに他のメンバーに呼びかける菅井。
昨年12月に有明コロシアムで行われた初ワンマンの時には「大先輩の恩恵を受けて、身の丈に合わないって言われても仕方ないくらい大きな舞台に立たせてもらって……」と号泣していた菅井と、そんな彼女にもらい泣きしていたメンバーの姿は、ここにはない。「今」を噛み締め「その先」に控えている初の全国アリーナツアーを見据えるその姿には、さらなる成長への確かな意欲が宿っていた。
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「私たちのモットーは『謙虚』『優しさ』『絆』なんですけれど、みなさんとライブを重ねて、たくさん絆を深めていきたいと思います!」という菅井の言葉から、全員で“W-KEYAKIZAKAの詩”で大団円……かと思いきや、欅坂のメンバーがもう一度オンステージ! 「特別にもう1曲披露させてください!」という平手のコールとともに咲き誇った最新アルバム『真っ白なものは〜』収録の新曲“危なっかしい計画”では、観客の頭上にペンライトとともにタオルがぶん回る――。すべての音が止んだ後、平手の「本日は、本当にありがとうございました!」の叫びとともに手を取り合って一礼するメンバーに向けて、惜しみない拍手喝采が響き渡った。(高橋智樹)
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