日向坂46、デビュー曲“キュン”の空色ハッピーオーラはなぜアイドルソングとして新しいのか?

日向坂46、デビュー曲“キュン”の空色ハッピーオーラはなぜアイドルソングとして新しいのか? - 『キュン』初回仕様限定盤TYPE-A『キュン』初回仕様限定盤TYPE-A
日向坂46が、いよいよ3月27日(水)にデビューシングル『キュン』をリリースする。

今年2月に「けやき坂46(ひらがなけやき)」から「日向坂46」へ改名し、欅坂46のアンダーグループからの独立という新たな道を歩み始めた彼女たち。同シングルに収録の新曲群は、横浜アリーナで行われた「⽇向坂46 デビューカウントダウンライブ!!」でも披露されていたが、それに加えミュージックビデオが解禁になったことで、⽇向坂46というグループの個性と方向性がよりはっきりと浮かび上がってきた。


ひらがなけやきと言えば、独特な世界観を持つ漢字欅とはまた違う魅力があり、「アイドルらしさ」を前面に出しているグループだった。彼女たちの代名詞でもあった「ハッピーオーラ」はもちろん日向坂46になってもそのままで、デビュー曲“キュン”のアップテンポな曲調とキラキラしたサウンド、そしてメンバーの眩しい笑顔とキュートなパフォーマンスは、見ているだけで明るく楽しい気持ちになれる。しかしこのハッピーオーラは、いつからか聴き手や観客にハッピーな気持ちを届けてくれるだけのものではなくなっていた。


それを強く実感したのが、昨年10月に日本武道館で開催されたライブイベント「Hot Stuff Promotion 40th Anniversary MASAKA 『Mutation of POP』」で、きゃりーぱみゅぱみゅとの共演を目撃した時だ。同イベントでひらがなけやきはトップバッターを務め、客席は単独公演並みの盛り上がりを見せていたのだが、続いてきゃりーぱみゅぱみゅの出番の際も、ひらがなけやきファンたちは同じくらいの熱量で大きな掛け声を響かせ、曲によって色を変えながらペンライトを振っていた。この対応力にきゃりーぱみゅぱみゅも驚いた様子で、MCでは会場を見渡しながら「凄いですね!」と言っていたのが印象に残っている。この日のひらがなけやきファンからは、一緒にハッピーなライブイベントを作り上げようとする気合いがビシビシ伝わってきた。また、今や恒例になってきた“JOYFUL LOVE”の「ペンライト大作戦」も、最初はファンによる自発的な呼びかけから始まっている。

つまり何が言いたいかというと、ひらがなけやきが生み出したハッピーオーラは一方的に誰かを楽しませるだけでなく、それを広めたいという気持ちを起こさせるパワーも併せ持っているということだ。そして自然に発生したこの「ハッピーオーラの連鎖」こそが、日向坂46というグループの一番の特色になる予感がしている。日向坂46になってファンに「おひさま」という名称が付き、ライブ前に“キュン”の「合いの手動画」が公開されたのも、この流れを汲んでのことなのではないだろうか。そう考えると日向坂46の新曲は、どの曲もコールやシンガロングが入れやすい編曲になっているようにも聴こえる。


そんな日向坂46は、グループのキャラクターもすでに確立されつつある。坂道シリーズはそれぞれ、乃木坂46が「上品なお嬢様系」、欅坂46は「反骨心が滲むカッコイイ系」という個性があるが、日向坂46を一言で表すなら「無邪気で可愛い妹系」だろう。底抜けに明るく溌剌としていて少しおてんばなところもある妹だけれど、時にドキッとさせる力強さも覗かせる。これは作られたイメージでも何でもなく、アンダーグループ出身で、それゆえの逆境にも挫けずに笑顔でステージに立ち続けた彼女たちだからこそのキャラクターと言えよう。そして「ドキッとさせる力強さ」の部分は、新曲“ときめき草”のMVを観るとわかりやすい。撮影のロケーションやTAKAHIRO(上野隆博)が担当した振り付けも相まって、欅坂46イズムを感じた人も少なくないはず。欅坂46というグループの芯は、独立してもしっかりと継承されている。これも日向坂46を語る上では、欠かせない重要な要素なのだ。(渡邉満理奈)
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