米津が同番組に出演するのは2度目で、前回は2017年10月、“灰色と青(+菅田将暉)”のMVが公開された直後。当時は米津が「緊張がひどい」と言っていたし、実際2人の会話からはそういう緊張感も垣間見えたが、この日の2人の会話はリラックスしたものだった。2人へ絶妙なボールを投げるリスナーからのおたよりも良い。米津は「菅田将暉のオールナイトニッポンリスナー、教育が行き届いてるね」と笑っていた。
話題の中心はもちろん、米津が提供した菅田の新曲“まちがいさがし”である。2人曰く、元々“灰色と青(+菅田将暉)”制作直後から「また一緒にやりたいね」という話はしていて、それがこのタイミングで実現したとのこと。“まちがいさがし”は難産だったらしく、また、ほかにもう一つ候補曲があったそう。「菅田将暉に歌わせるなら気の抜けた曲作れないなって思って」、「(もう一つの曲は)菅田将暉が歌ってるビジョンみたいなものに確信が持てなかったんだよね」、「菅田将暉じゃなくていいんじゃないかなって思っちゃった」と、その葛藤の過程を米津は明かしていた。菅田は、そうして米津が自分のことで悩んでいる姿を見てグッとくるものがあったらしく、「会うたびに思うんですけど、熱いんですよ、米津玄師という人は」とも言っていた。
番組の中盤で“まちがいさがし”のフルサイズ音源が解禁された。この曲はシンプルなミディアムバラードで、例えば、最初のサビに入るまでは伴奏がピアノのみである。それは米津が「何回言うんだろうって話だけど本当にいい声だと思う、聴けば聴くほど嫉妬するもん」と羨むような菅田の歌声を、如何にしても活かすべきか考えた結果だろう。サビの一番キーの高いところは、米津の歌うデモ音源ではファルセットだったが、菅田が間違えて地声で歌ってしまったらしい。しかし、菅田が「お芝居で(声を)張りたい時に出している声のキーっぽい気がした」と語るように、また米津が「でもそこで、この曲はこういう曲だったんだなって思った」と語るように、その化学反応は“まちがいさがし”という曲にとって必然だったようだ。
米津「シンプルであればあるほど、声に対する比重はどんどん大きくなるわけでさ。本当にこれは、菅田将暉だから成立した曲だと思うので。作らさせてくれて本当にありがとうございます」
菅田「こちらこそありがとうございます。あなたは天才よ」
米津「知ってる」
と、米津は番組をあとにした。今回の放送から、米津と菅田が互いを尊重し、必要としあう理由を改めて垣間見ることができたように思う。(蜂須賀ちなみ)