2016年にこの世を去ったデヴィッド・ボウイだが、2019年の現在も多くのクリエイターやミュージシャンに影響を与え、いつの時代もインスピレーションの源になっている。
『ロッキング・オン』6月号では、アルバム『ステイション・トゥ・ステイション』を発表し、その後行われた「Isolar Tour」の間に行われた、ボウイが当時29歳だった頃の貴重なインタビューを掲載している。
ツアー中に受けた同インタビューにて、ボウイは最近聴いている音楽について訊かれ、以下のように答えている。
(中略)今は音楽そのものに大して惹かれないんだよね。バンドで演奏するのは好きだけど、聴く方に関しては……それほど入れ込んでないんだ。クラフトワークくらいかな、ああいった、まあキュートな音楽というか、その手のは聴いているけど、今の音楽で僕が興味を惹かれるものはほとんどない。
僕自身が最近やってたのは、気軽に楽しめるソウル、ってとこだね。そんなに複雑なものではないけど、作っていて楽しい。
さらにインタビューでは、なぜロック・スターとしてだけではなく、映画などに出演する俳優としても活動するのか、その理由についてボウイ独自の考えが語られている。
(中略)ロックンロールに向けた最初の情熱に、ロックンロールのキャリアを積んでいくことへの不満が混じるのが嫌だったんだ。ロックンロールの世界では、アーティストはあっという間に定型と化す。そして定型となった途端に、目的を果たしたことになってしまうんだよ。
アーティストがロックンロールで新しいことを言おうとしても、二つは無理だと思う。ある一人のアーティストが、ある一つのことを言いたいとする。ところがこのあまりに儚いカルチャーの中では、その一つを表現したあとは、消えずにいるにはどうするべきかというだけの問題になる。新しいことを言おうと頑張ったところで、新たな生き残りの手段と解釈されるのさ。
(中略)カルチャー、政治、音楽、とにかく何であれ何かの役に立ちたいなら、音楽だけ使うより、自分自身のペルソナを使うことさ。一番いい手段はそれを使い分けることだ。そしてあちこちでうるさがられる存在にならないとね。
その他、ジョン・レノンやボブ・ディラン、ブルース・スプリングスティーンなどについて語る場面や、当時行っていたツアーにおけるボウイ自身の強いこだわりについても語られている。
終始自信に満ちたボウイの貴重なインタビューの全容は、『ロッキング・オン』6月号をぜひチェックしてほしい。
デヴィッド・ボウイの関連記事は現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。