現在『バンドリ!』内には、リアルバンドとして活動しているユニットが3組ある。
まず、Poppin'Partyは、愛美(Vo・G)が所属する、『バンドリ!』創成期から存在していたバンド。劇中、主人公の戸山は自身の学校の部活動の体験入部に参加しながら「キラキラドキドキするもの」を探し求めていたわけだが、確かにPoppin'Partyのサウンドは「キラキラドキドキ」と形容できるかもしれない。疾走感のあるギターロックサウンドにキュートな歌声、きらりと光るキーボードの音色は爽やかで甘酸っぱく、「王道」という言葉がよく似合うバンドだ。楽曲のコード進行は比較的シンプルで、メロディラインもキャッチーである。また、ボーカルは愛美だが、全員が声優であり綺麗な声をしているため、コーラスのハーモニーが非常に美しいのも彼女たちの持ち味だ。なお、初期の頃はSILENT SIRENのライブパフォーマンスを参考にしていたという。
一方、Roseliaは、全体的にサウンドの重心が低めで、メタル・ハードロック寄りのアプローチ。劇中で孤高の存在として描かれている湊友希那を演じる相羽あいな(Vo)が、フロントマンとして抜群の存在感を放っている。編成こそPoppin'Partyと同様だが、音楽性はかなり違っているのが興味深い。また、Roseliaは3組中唯一メンバーの卒業と加入を経験しているバンドであり、もはや『バンドリ!』内のストーリーの枠組みを超えたドラマを展開している。その点も多くのファンを惹きつけているポイントだろう。新体制初のライブでメンバーが言っていた「12人でRoselia」(※12人=劇中のキャラクター5人+それを演じる声優5人+卒業していったメンバー2人)には、バンドの軌跡を胸に刻みながら未来へと歩んでいくのだという、彼女らの意思が表れていた。
RAISE A SUILENは結成の経緯がやや特殊。『バンドリ!』にはバンド形式ではない声優ユニットもいるのだが、そのバックバンドをやっていたのが彼女たちだった。作品内でキャラクターが展開されるよりも先に、バンドが結成され、ライブも開催された――つまり、RAISE A SUILENは三次元での活動からスタートしたということだ。元々バックバンドとして様々なタイプの楽曲を演奏していたため、表現力が高いことがこのバンドの武器である。また、3組中唯一DJがいるのも大きな特徴だ。オリジナル曲はロックサウンドにEDMを掛け合わせたようなテイスト。レイヤ役のRaychell(Vo・B)の歌声はダイナミックで、曲調自体もクールだが、そこに重なるコーラスがかなりキュートだというギャップも面白い。
今年2月21日~23日に行われた日本武道館公演「BanG Dream! 7th☆LIVE」では、1日目にRoselia、2日目にRAISE A SUILEN、3日目にPoppin'Partyがそれぞれ単独公演を実施。さらに3組とも、武道館のステージ上で次の大型ライブを発表した。勢いに乗る3組が従来の『バンドリ!』ファン以外に支持される日もそう遠くないだろう……というかもうすでに始まっているのかもしれない。YouTubeの公式チャンネルには、3組のライブ動画が随時アップされているのでぜひともチェックしてみてほしい。その本格的なパフォーマンスにきっとあなたも熱狂してしまうことだろう。(蜂須賀ちなみ)