ナイン・インチ・ネイルズのトレント、プロデュース作のダウンロード実績を赤裸々報告

ナイン・インチ・ネイルズ(以下NIN)のフロントマン、トレント・レズナーがプロデュースを手がけたソウル・ウィリアムズ最新アルバム『The Inevitable Rise And Liberation of Niggy Tardust』。11月1日にダウンロード配信限定で発売、価格設定方法がユニークで、音質が低めの192kbpsのMP3ファイルを無料で、高音質の320kbpsのMP3ファイルとFLAC形式ファイルを5ドル(約570円)で販売、という2タイプの価格設定がなされており、ユーザーがどちらかを選べるようになっていた。

このレディオヘッドの新作『イン・レインボウズ』で行われた試み(「価格はあなた次第」)の発展系ともいえる、価格形態、発売方法が話題を呼んだ同アルバムだが、トレントはこのたびNINの公式ページで、ダウンロード数とセールスの統計を発表した。

そのレポートによれば、11月1日のリリース以降1月2日現在までで、154,449件のダウンロード実績があり、そのうち有料のダウンロードを行ったファンは18.3%の28,322人にとどまったという。価格が良心的な設定だったにもかかわらず、有料ダウンロードは2割以下、というこの結果について、トレントは落胆を隠せない様子だ。この新作発売にあたってプロモーションに費用をかけておらず、自身ができる範囲での宣伝を行ったのみであることから「ダウンロードした人たちは、ソウル(・ウィリアムズ)のファンか俺たちのファンが大半だったはずだ」と予測。そして「それなのに(アルバムに)5ドルの価値があると考えたのは 5人に1人もいなかった。これは果たして朗報なのだろうか? 自分が何を期待していたのかわからないが、 このパーセンテージには落胆したといっていい」とコメントしている。

一方で、前向きな分析コメントも。「3年前(出たソウルのアルバムを)33,897名の人々が買っているが(その数はもっと多いかも知れないが)、その5倍にあたる人々が、今回の新作を150kで手に入れたのだとしたら、それは素晴らしい事だろう、そうじゃないか?」「ソウルの音楽はこれまでになく、人々のiPodに入った。ソウルは今年、年間を通じてこれまで以上の規模のツアーを続ける」としている。

アルバムの理想的なリリース方法について模索するアーティスト達のために、今後の参考になれば、ということで今回の実績報告を掲載したトレント。この大変貴重なレポートは他のアーティスト達はどのように受け止められたのだろうか。トレントは「ファンは出来るだけ早く音楽を入手することに興味があると言える、そういう姿勢はよいことだと思っている。新作の音源のリークはだいたいの場合、レコード会社のプレス工場からだ。でも、最初からデジタル配信によるアルバムリリースをすれば、こうしたリークの問題を減少させることが出来る」と考えており、余計な付加価値をつけず、それなりのクオリティの音源でアルバムを無料でファンに届けることは、リスナーの“正しい行為”の選択を促すとの考えに基づき今回の試みは進められたそうだが、収益という点で言えば「今回のプロジェクトでは誰も裕福にはならかった」そうだ。引き続き『The Inevitable Rise And Liberation of Niggy Tardust』配信特設サイトでは、ダウンロードが可能となっているので、気になる人はチェックしてみては。
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