ついに公開となった『劇場版おっさんずラブ ～LOVE or DEAD～』。ドラマでは、ごく普通のサラリーマン・春田創一（田中圭）が上司である黒澤部長（吉田鋼太郎）から求愛されて戸惑っているところに、後輩である牧凌太（林遣都）にも「好きだ」と言われ、そこから波乱万丈なラブストーリーが展開された。ありとあらゆる出来事に翻弄されていたのは登場人物だけでなく、それを観ていた視聴者までをも巻き込み、『おっさんずラブ』ワールドが拡大化。昨年の流行語大賞に選出されるまでとなった。


そしてその続編が公開！ということで、この記事では予告編に沿って、映画の見どころを6つのポイントで紹介します。まだ観ていない方はぜひ予告映像を片手に、もうご覧になった方はスクリーンで繰り広げられた物語を思い出しながら読んでもらえると嬉しいです。ドラマ最終話で春田と牧が結ばれてハッピーエンドを迎え、「愛する」ということを覚えた登場人物たちが繰り広げるさらなるストーリーに、そしてその「愛」にたくさん触れてください。

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①はるたんも牧も部長も新恋敵も！ サウナでキャットファイト！

ハッピーオーラ満開の新入社員・山田ジャスティス（志尊淳）、そして本社の新プロジェクトチームリーダー・狸穴迅（沢村一樹）を筆頭に、新キャラならぬ新恋敵も登場する劇場版。ほかにも春田が上海・香港赴任を経て帰国したり、牧が本社勤務になったり、黒澤部長の記憶がなくなったり（詳しくは次の項にて！）、様々な状況の変化があっても、やはり恋愛絡みはつきものだ。もともと春田、牧、黒澤部長で絡み合っていた三角関係は、劇場版でジャスティスと狸穴という頂点を加えた「禁断の五角関係」へと発展する。

この「愛の頂上決戦」（と書いて「ラブ・バトルロワイアル」と読んでください）のなかでも、特に注目してほしいのはサウナでのキャットファイト！ 予告映像では一瞬流れるだけですが、このシーン、めちゃくちゃファイトしています。予告映像も、よく見ると春田が暴れている牧を必死に止めていたり、黒澤部長は手桶で攻撃していたり……と、短い間にこちらへ与えられる情報が多すぎるし、超カオスな雰囲気がプンプン。そもそも「なぜサウナに5人が集まっているの？」という真意も含め、このキャットファイトの全貌は絶対に見逃さないでほしい。

②部長が記憶喪失!?――「君の名は。」

狸穴率いる新プロジェクトを展開する本社と、プロジェクトの一翼を担わされた営業所が対立し始めた矢先、なんと黒澤部長がとある事故に巻き込まれてしまう。しかし、包帯ぐるぐる姿から復活し、再び営業所に元気な姿を見せた黒澤部長。春田はその姿に安心し、「部長！」と呼びかける――のだが、帰ってきた言葉は「君の名は？」。自分のことだけを覚えていない様子の部長に対する春田の悶絶に劣らず、これは見ているこちらも悶絶してしまう展開だろうと思う。

春田をかつて「はるたん」と呼んでいたことも、夜景をバックに真赤な薔薇の花束を持ち「はるたんが……好きです！」という一世一代の大告白をしたことも、春田のことは何も覚えていない黒澤部長。しかし、記憶喪失によって「初めて」春田に出会ったにも関わらず「ビビビって、来ちゃったんだお」とぶっ放し、とろけるような笑顔で春田の名を呼ぶ姿に、どこか懐かしさを覚える。黒澤部長が春田へと向ける2度目の恋はハッピーエンドへと向かうのか、それとも「はるたん」と過ごした日々は戻ってくるのか!? 部長のキュートな恋心、再来です！

③指輪を見つめるはるたん、そして涙目で「別れようぜ」

予告映像でも流れ、一度聴いたら切なさと苦しさが何度も頭の中でリフレインしてしまうセリフは、やはり春田の「俺、牧とさ、本気で家族になりたかったんだよね」と「別れようぜ」だろうと思う。永遠の愛を誓ってたのになぜこんなセリフが春田から出てくるのか――。ちょっとでも歯車がかみ合わなかったら、順風満帆に進まないのが、恋であり、そこに生まれる愛でもある。幸せも不幸も全部一緒に背負っている春田と牧の姿を観たい人間が多いのとは裏腹に、春田は涙目で「別れようぜ」と言ったり、でもやっぱり牧が春田の顔をグッと引き寄せていたり、春田は指輪を悲しげな顔で見つめていたり……もう予告編だけで胸がキューッとなる。いろんなことが起きまくる劇場版のなかでも、春田があの日誓った「牧との永遠の愛」がどこへ向かうのかも気になるところだ。

④はるたんが業火に捕らわれた！ そのとき牧と部長は一体？

何が起きるか分からない物語ではあるが、命への危機については心配していなかった『おっさんずラブ』。だけど、今作のタイトルは『劇場版おっさんずラブ ～LOVE or DEAD～』ですから！ ピュアな「LOVE」はそのままに、でもヒヤヒヤする「DEAD」な場面がたくさんあるのだ。予告編の「最悪の事件」という文字と、映し出される炎の中で横たわる春田や黒澤部長のターザン姿、春田の名を叫ぶ牧の姿にハラハラドキドキが止まらない。そして、観終えた今こそ思う、このハラハラドキドキという感情はきっと『おっさんずラブ』のために生まれた言葉なのではないか、と。「LOVE and PEACE」ではなく、なぜ「LOVE or DEAD」なのかを考えながら、そして「生きるか死ぬか」ならぬ「愛するか死ぬか」の場面を目に焼き付けてほしい。

⑤スキマスイッチによる主題歌“Revival”がないと『おっさんずラブ』は完結しない！

『おっさんずラブ』のために書き下ろされた曲ではないのに、もはやおっさんたちの純愛物語『おっさんずラブ』のテーマソングとなりつつある。そして、この曲で注目すべきは2番のサビ部分《祭囃子 打ちあがる花火 人ごみの中／行こうよ！って僕の手を引く》。まだ観ていない方は予告編を、既に観た方は映画の内容を、よーく思い出してみてください。打ちあがる花火、りんご飴と綿菓子を持ち、人ごみのなかで手をつなぐ春田と牧――あっ！と思った方、多いのではないでしょうか？ この曲をもって、これまでの『おっさんずラブ』が完成する過程をチェックするのはもちろん、この“Revival”に浮きあがる愛の形もぜひ感じてください。

⑥お馴染みキャラの恋模様やいかに？

そして、最後に紹介したいのが、先述の五角関係に加え、各キャラクターの恋模様だ。ドラマのラストでは外国人の彼氏をゲットしていた春田の幼馴染・ちず（内田理央）の現在、ギター片手に歌う鉄平（児島一哉）とその隣でマラカスを鳴らすマイマイ（瀬川舞香／伊藤修子）のラブラブ度、黒澤部長の元妻かつ年上彼女である蝶子（大塚寧々）へと見せる年下彼氏のマロ（栗林歌麻呂／金子大地）の男気（？）、そしてなぜ武川（眞島秀和）は入院している黒澤部長の手を握っているのか――。好きな人とのあいだにしか生まれない顔や感情がしっかりとひとつも溢さずに映し出されるのも、この作品の魅力のひとつ。キャラクターそれぞれが好きな人へと思う「君に出会えてよかった」という気持ちがこちらに感染して「『おっさんずラブ』に出会えてよかった」と思える瞬間、そしてなにより、こうしてみんなの「好き」が観れること、めちゃくちゃ幸せじゃないですか？ 各キャラクターの動向も見逃さず！

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と、そんなわけで、「笑って泣ける」という言葉が似合いすぎる作品です。愛って誰かに言われて生まれるものでもなければ、誰かの言う通りに形が決まるわけでもないし、そもそも一人ひとりの人生は山あり谷ありだからいろんな人生があって、いろんな愛があっていい。多くの方がこの劇場版『おっさんずラブ』と出会い、そして新たな愛をまたひとつ知ることを祈ってやまない。（林なな）