ビートルズは『アビイ・ロード』に続く次なる作品を作ろうとしていた? メンバー間の話し合いを収めたテープが発掘される

ビートルズは『アビイ・ロード』に続く次なる作品を作ろうとしていた? メンバー間の話し合いを収めたテープが発掘される

『アビイ・ロード』50周年記念エディションを9月27日(金)にリリースするザ・ビートルズだが、このたび新たに発掘された1969年当時の録音テープにて、バンドの主要ソングライターたちが『アビイ・ロード』に続く次の作品に取り組むため、話し合いを行っていたことが明らかになった。

Rolling Stone」によると、『アビイ・ロード』発売2週間前の1969年9月8日に録音されたテープには、ロンドンのサヴィル・ロウにあるアップル本社でジョン・レノンポール・マッカートニージョージ・ハリスンの間で交わされた会話が録音されているという。リンゴ・スターが入院中に、3人は次のアルバムをレコーディングすることを話し合い、クリスマスに合わせてシングルを出すことも検討していたそうだ。

ザ・ビートルズ史家で、著述家のマーク・ルイソンが「The Guardian」の取材で再生したこのテープには、ジョンが「リンゴ、君はここに来れないから、僕らが話し合った内容を聞けるように録音しておくよ」という声が録音されており、さらに彼は、次作ではジョン、ポール、ジョージの3人がそれぞれ4曲ずつ提供し、もし「本人が望むなら」リンゴには2曲を割り当てると提案しているという。加えてジョンは「レノン=マッカートニー神話」にも言及しており、長年続けてきた紙面上の共作関係を解消し、それぞれ個別に自分の名前をクレジットすることも主張していたとのこと。

このジョンの提案に対し、ポールはジョージが2人と同じだけの曲数を分担するというアイデアに異論を唱え、以下のように語っていたという。

このアルバム(『アビイ・ロード』)まで、ジョージの曲はそんなに良くないと思ってたんだよ。


この発言を受け、『アビイ・ロード』に自身の代表曲である“Something”と“Here Comes the Sun”を提供したジョージは「それは好みの問題だよ。僕の曲が好きだって人もいるさ」と反論したという。


ジョンも『アビイ・ロード』の収録曲であるポールの風変わりな“Maxwell’s Silver Hammer”は本人以外は誰も好きじゃないと指摘、ウェールズ出身のフォーク歌手、メリー・ホプキンをはじめとする他のアーティストに提供するのと同じような楽曲を自分のバンドにも提供すべきだと主張しているという。ポールはそれでも「(自分は)気に入ったから」レコーディングしたんだと、自身の曲を擁護していたそうだ。

これまで複数のビートルズ本を執筆してきたマーク・ルイソンは「The Guardian」に対し、この録音テープはこれまで考えられてきた、ビートルズが難航した『レット・イット・ビー』セッションから立ち直り、最後の作品として『アビイ・ロード』を録音したとする従来の解釈を覆すものだとして、次のように語っているという。

驚くべき新事実だ。これまでのビートルズ本では常に『アビイ・ロード』が最後だと分かっていて、彼らがひとつの芸術的な高みを目指していたと書いてあった。でも違った。彼らは次回作を話し合っているんだ。そしてバンドを解散させたがっていたのはジョンだとみんな思ってたけど、このテープを聞くかぎりでは、そうじゃない。これは、これまで我々が知っていると思ってたことをほぼ全て書き換えるくらいの話じゃないだろうか?




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