星野源『Same Thing』の中で“私”が一番「新しい星野源」に聴こえる理由

星野源『Same Thing』の中で“私”が一番「新しい星野源」に聴こえる理由
星野源の最新EP『Same Thing』をずっとリピートし続けている。
スーパーオーガニズムとのコラボによる表題曲“Same Thing(feat. Superorganism)”については「新しい星野源が“Same Thing(feat. Superorganism)”から始まる」というタイトルで既に書いた。
新しい星野源が“Same Thing(feat. Superorganism)”から始まる
星野源がスーパーオーガニズムとのコラボレーションによって作り上げた新曲“Same Thing(feat. Superorganism)”が発表された。 全編英語詞であること、編曲をスーパーオーガニズムが担当していてこれまで完全に個を極めながら同時にポップも極めてきた星野源印のサウンドとは…
新しい星野源が“Same Thing(feat. Superorganism)”から始まる
この曲と、PUNPEEとのコラボ曲“さらしもの(feat. PUNPEE)”、トム・ミッシュとのコラボ曲“Ain’t Nobody Know”、そして“私”の4曲がそれぞれに別の形で同じ「新しい星野源」を描いていて、その4曲がループすることによってそれぞれの曲に新たな命が吹き込まれて聴こえてくるからリピートし続けてしまうのである。
しかも、そのループを最も促進する力を持っているのが4曲目の“私”。
作詞・作曲・編曲を星野源が一人で手がけ、一人でギターを弾きながら歌う、言わばこれまで通り過ぎるスタイルで作られ歌われている曲なのだが、それが不思議と全く「新しい星野源」に聴こえ、さらに言うとこのEP全体をより「新しい星野源」にしていく力を持っているのだ。
この“私”という曲は何が新しいのか?
それはやはり星野源が「私」を歌っているところが新しいのだと思う。

星野源は、ファーストソロアルバム『ばかのうた』をリリースするよりも前に、初めてのエッセイ集『そして生活は続く』にも収録されているエッセイの中で「『自分探しの旅』などとはよく言うが、私にとっては自分探しなんて孤独で辛そうなものより、積極的に『自分なくし』をしていきたい」と書いている。
その言葉通りに音楽の中に「自分探し」をせず、むしろ「自分なくし」をするように歌を歌ってきた星野源が初めて“私”を歌った。
でも、それは「自分」を歌っている歌のようには聴こえない。
まるで「自分」という友達のミュージシャンとコラボレーションして今歌うべきテーマに向き合ったらそれが“私”というものだった、そんな感じだ。
「自分探し」も「自分なくし」も同じこと。
もしかしたら弾き語りは一人ではないって...。
それは誰にも奪えない面白いこと。
そして、また誰かと出会って新しい音楽が生まれる。
そんな風にこの『Same Thing』というEPは一つの重要で尊いテーマで巡り続けているのだ。(古河晋)
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