King Gnu、『情熱大陸』で明かされた「King Gnu」の4人をつなぐもの=「愛ですね」

「音楽が中心であってKing Gnuが中心じゃないんで。俺たちが今のメンバーと一生付き合っていくのは間違いないわけで、もっと自由でいてほしいし、みんな」

そんな常田大希(G・Vo)の言葉で締めくくられた、King Gnuの『情熱大陸』。その言葉の種明かしをするように、番組は「今をときめくスターバンド」としてのKing Gnuではなく、そこに集った個性もバックグラウンドもバラバラな4人がそれぞれに情熱を燃やす「ひとり」の場面を中心に構成されていた。

MV撮影のスタジオの隅の暗がりでウンコ座りをして弁当を食べながら「天丼の中でイカが好きなんだけど」、「わかる」などと会話する井口理(Vo・Key)と新井和輝(B)の姿や、スタッフとの顔合わせの食事会で「5万円のサングラス」を買ってライブ会場入りしてきたという井口を常田がイジる場面、さらには井口がぽろっとこぼす「お互い、隣の芝じゃないけどリスペクトし合ってます。大好きだと思います」とメンバー愛などなど、4人の結束と友情を映し出すシーンも随所にあった。COUNTDOWN JAPAN 19/20のEARTH STAGEでの熱演をはじめ熱狂的に爆発するライブの様子もしっかり収められていた。

だが、それよりもKing Gnuというバンドの特異性と本質をストレートに伝えていたのは、メンバーそれぞれがそれぞれに時間を費やす様子をカメラが追いかけているときだった。常田はLogic Proの画面を見せながら音楽と向き合う作曲プロセスを開陳する。勢喜遊(Dr・Sampler)は昔から通っている六本木のバー「Electrik神社」でセッションに参加する。新井もまた、地元・福生のバーで「俺の音楽の生みの親」と表現するギタリスト斎藤デメらとの演奏に興じる。井口は自身が出演する映画(4月17日公開/行定勲監督『劇場』)のセリフの録り直しで何度もミスっては落ち込む様子を見せる。全く違う場所で、全く違うものや人と向き合いながら、自分の中にあるものを磨く4人の姿だ。

印象的だったのは、アルバム『CEREMONY』のインタールードを常田が実兄・俊太郎氏とレコーディングするシーンが流れたあと、完成した作品をチェックするために集まった4人がそれを聴いて放った言葉だ。笑顔を浮かべながら「渋っ!」、「うまい」……バンドの一員というよりリスナーの感想に近いような言葉が口々に出てきた瞬間に、King Gnuのなかにある独特の距離感やマインドが垣間見えたような気がした。

「他の3人のメンバーが音楽的な力もあるし、俺はすごくラッキーだったなって、そこに混ざってやれたことが。頼ってたなって部分があって、だから個人にこだわりたくなってきたというか」(井口)

「4人でKing Gnu、そういう感じが最近になって出てきた感じがある」(勢喜)

「バンドってすごく日本で変なイメージありますよね。文化祭の延長線上みたいな」(常田)

それぞれの言い回しでKing Gnuというバンドの今のありかたを表現するメンバーたちだが、その実言っていることは同じだ。つまり、King Gnuという傘の下に4人がぶら下がっているのではなくて、どこまでも1+1+1+1でKing Gnuである(べきだ)ということ。その様子について「どこか冷めているような自然体も今どきの若者に支持される理由かもしれない」とナレーションが入ったりもするのだが、冷めているというより制御しきれないほどの情熱が合流して燃えているのがKing Gnuなのだということを、赤裸々な映像の数々は証明していた。

ではそんな4人をつなぐものとは何なのか。常田に締めの「名言」を要求された新井が吐いた「愛ですね」という言葉が振るっていた。それを受けてザ・ビートルズ“All You Need Is Love”を歌い始める4人。そんな番組中数少ない「バンドっぽい」シーンは、ことさら感動的だった。(小川智宏)
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