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    特別企画! ロッキング・オンが選んだ「2010年代 究極の100枚」からTOP20を発表!(4日目)

    特別企画! ロッキング・オンが選んだ「2010年代 究極の100枚」からTOP20を発表!(4日目)

    2020年を迎えて早くも初夏に。パンデミックの影響で巣ごもりの時間が長引くなか、音楽を心の拠りどころにする人も多いことでしょう。そこで、ロッキング・オンが選んだ「2010年代のベスト・アルバム 究極の100枚(rockin’on 2020年3月号掲載)」の中から、さらに厳選した20枚を毎日1作品ずつ紹介していきます。

    10年間の「究極の100枚」に選ばれた作品はこちら!



    『ボン・イヴェール』
    ボン・イヴェール


    2010年代のメインストリーム更新の原点

    特別企画! ロッキング・オンが選んだ「2010年代 究極の100枚」からTOP20を発表!(4日目)

    最新作『アイ、アイ』では「収穫の秋を迎え、季節が一周した」と語っていたジャスティン・ヴァーノン。デビュー作『フォー・エマ・フォーエヴァー・アゴー』は極寒の冬に、山小屋で1人でラップトップで作ったアルバムだった。

    しかしカニエ・ウェストの目に留まり、傑作『マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー』で共作。この奇妙なコラボこそが、後のヒップホップ、ポップの革新を象徴していた。

    そんな経験を経ての2枚目は、「希望が芽吹くのが感じられる春の活力がある作品」。多数のコラボレーターを迎え、ピアノ、ホーン・セクションなどを加え当時のバロック・ポップに影響を受けながらも独自のエレガントなアレンジを展開。

    また、よりエレクトリックやシンセサイザーを導入し、R&B、ファンクにも影響を受けて、当時のUSインディの主流だったフォークを解体、再構築することで。前作からの飛躍とシーンからの離脱を告げていた。

    唯一無二なファルセットは、オートチューンなどで、そのか弱さ、自己探求などが全面に押し出され、エモーションが炸裂さる。ソウル・フォークとも、またはフランク・オーシャンにも通じる2010年代的なソウル、ゴスペル・ミュージックとも言える独自のサウンドに昇華。スピリチュアルかつ個々との強烈な繋がりをもたらす源となった。

    ロックの存在感が希薄な現在のグラミー賞にノミネートされ続けているジャスティンだが、今作はジェイムス・ブレイクなどと並び、彼が世界のメインストリームを更新、牽引する存在となったことを記したアルバムなのだ。(中村明美)
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