特別企画! ロッキング・オンが選んだ「2010年代 究極の100枚」からTOP20を発表!(8日目)

特別企画! ロッキング・オンが選んだ「2010年代 究極の100枚」からTOP20を発表!(8日目)

2020年を迎えて早くも初夏に。パンデミックの影響で巣ごもりの時間が長引くなか、音楽を心の拠りどころにする人も多いことでしょう。そこで、ロッキング・オンが選んだ「2010年代のベスト・アルバム 究極の100枚(rockin’on 2020年3月号掲載)」の中から、さらに厳選した20枚を毎日1作品ずつ紹介していきます。

10年間の「究極の100枚」に選ばれた作品はこちら!


『ハリウッド・ブリーディング』
ポスト・マローン


特別企画! ロッキング・オンが選んだ「2010年代 究極の100枚」からTOP20を発表!(8日目) - 『ハリウッズ・ブリーディング』『ハリウッズ・ブリーディング』

2020年代にこそ共有される歌

毛むくじゃらの熊みたいなルックスのポスト・マローンは、なぜテイラー・スウィフトと並び称されるようなポップ・ミュージックのアイコンとしてティーンエージャーに絶対的な支持を受けることとなったのか。本誌1月号のインタビューでポスト・マローンはこう語っている。

「自分自身であり続け、自分自身を表現して、自分自身を信じることが大事」

シンプルだが強い。この信念が嘘偽りのない真実であることを、ティーンエージャーは彼の曲やステージや振る舞いで本能的に察知している。迷い彷徨う若者たちに、今のままの自分でいいんだ、背伸びしたり自分を偽ったり周りの言いなりになる必要なんかないんだ、と説いた。

ポスト・マローンが歌い続けているのは突き詰めればそれだけであり、圧倒的な成功を収めた前作『ビアボングズ&ベントレーズ』のあとを受けた本作において、より強く深い確信をもって歌われているのだ。

ポスト・マローンの甘い声と深いメランコリア、夢の中を彷徨うような浮遊感のあるサウンドは、別れや喪失や崩壊などの闇や孤独をくぐり抜けてきた者だけが持つ力強さと説得力がある。だからこそ、彼の歌は共感を呼ぶ。R&B、ヒップホップ、ロック、カントリー、フォークなどジャンル間をスムーズに横断する越境性を備えた柔軟なサウンド・プロダクションは現代的だ。

20年後30年後、2010年代とはどういう時代だったか振り返る映像のバックで流れるのにふさわしいBGMは本作をおいて他にない(小野島大)
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