(『今宵その夜』は)ホラー・レコードだよ、世界初のホラー・レコードだ。気に入る人は一人もいないかもしれない。だけど気持ちがほぐれてる時に聴けば、すごくハッピーなアルバムなんだ。ゆとりがなければ楽しめない。自分がどれだけピリピリしてるか気づかされるからさ
長年「失われたアルバム」と言われていたニール・ヤングの『ホームグロウン』が、45年を経てとうとう日の目を見ることとなった。当時のガールフレンドとの失恋を描いたため、「傷心で聴けなかった」という今作は1975年に発売予定だったがお蔵入りとなった。
彼の中では、1972年の「『ハーヴェスト』と(1978年の)『カムズ・ア・タイム』を繋ぐ橋のような作品」で、74年6月から75年1月にレコーディングされている。この当時30代にさしかかっていたニール・ヤングは74年『渚にて』、75年6月には『今宵その夜』、同年11月『ズマ』を発売と超多作で、才能が溢れ出ている時期だった。その最中にもう1枚作っていたとは、当時の彼がいかに神懸っていたのかを思い知る。
ここに掲載するインタビューは、正にその時期、『今宵その夜』の発売直前に行なわれたもので、『ハーヴェスト』にまでさかのぼり、かなり深く語った貴重な内容。「ポップ・ミュージック」についての言及も新鮮だし、パーソナルな作品に向かっていた彼が、最もパーソナルな傷心作を生み出したその周辺でどんな心境だったのかが、鮮烈に浮かび上がって来る。 (中村明美)
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