デヴィッド・ボウイが、1983年に受けたMTVのインタビューで、同番組において黒人アーティストが取り上げられる回数が少ない点を批判し、多様性の欠如を指摘していたことがわかった。
「Consequence of Sound」によると、1983年に行なわれた同インタビューは、2016年1月にYouTubeの「MTV News」チャンネルにて再公開。先月発生したジョージ・フロイド事件をきっかけに、黒人に対する暴力や差別の撤廃を訴える運動「Black Lives Matter」がさらに大きくなったことを受け、再び注目されている。
同インタビューでボウイは、MTVでVJを務めていたマーク・グッドマンに、「MTVでフィーチャーされる黒人アーティストが、あまりに少ないのは驚きだ。なぜなのかな?」と質問。
このボウイの質問に、グッドマンはMTVが黒人アーティストをさらにフィーチャーする方向に進もうとしていて、出演者を絞っているところだと返答した。またグッドマンは、MTVはニューヨークやロサンゼルスといった大都会だけでなく、「黒人の顔や音楽を死ぬほど怖がる中西部でも番組を放送しなければならないから」と答えつつ、MTVではプリンスのミュージック・ビデオをオンエアしていると強調していた。
その答えにボウイは苦笑い。グッドマンの言い分を険しい表情で聴いていたボウイだったが、加えてグッドマンが、1983年に生きる17歳といった若い世代はアイズレー・ブラザーズなどのアーティストを好まないと続けたために、次のように返した。
それが何を意味するか言うよ。17歳の黒人にとってアイズレー・ブラザーズやマーヴィン・ゲイが、どんな存在であるかを教えてあげよう。当然ながら、彼(17歳の黒人の若者)だってアメリカの一部だ……。これが、どれだけ危険な状況か君には想像できない? メディアをさらに平等なものにするために、立ち向かうべきだと思う。音楽的にもね
その後もグッドマンは、1967年と状況は違い、白人は黒人アーティストの音楽を聴きたがらないといった自論を展開。ボウイに対し、「理にかなっていますか? 妥当な答えになっているでしょうか?」と訊ねると、ボウイは困ったように笑いながら「興味深いね。“君の”見解はわかったよ」と回答した。
同インタビューは、再び注目を浴びており、SNSにはボウイの姿勢を絶賛するコメントが多く投稿されている。
ボウイが当時のMTVが多様性に欠けていると指摘したインタビューは、以下より視聴可能。