ミネアポリスに生まれた早熟で過敏すぎる少年は、いかにしてジ・アーティストとなったのか――注目の『THE BEAUTIFUL ONES プリンス回顧録』より、幼少期をめぐる激白!

ミネアポリスに生まれた早熟で過敏すぎる少年は、いかにしてジ・アーティストとなったのか――注目の『THE BEAUTIFUL ONES プリンス回顧録』より、幼少期をめぐる激白!

本格的な曲を作る前に僕が書いていたのは、リストや統計だった。中でも[僕が]もっとも誇りに思っていたのは、ガールフレンドの名前を書いたリストだ。彼女たちが僕を好きかどうかなんて、気にしちゃいなかった。僕が好きな女の子たちだから――リストに書いたのだ。そしてゆくゆくは、みんな僕を好きになる


今から4年ほど遡る2016年の3月下旬のこと、プリンスが「自伝本」の執筆を開始した!という衝撃のニュースが音楽サイトなどで大々的に報じられた。当時の報道では、ミネアポリスでの幼少時代から2007年のスーパーボウルでの伝説のライブ(あの大雨の中の“パープル・レイン”!)に至るまで、音楽人生のすべてを語り尽くす!という触れ込みで、世界中の殿下ファンは、嬉しさのあまり狂喜乱舞したものだった。

でも、残念なことに、夢は叶わなかった。ご存じのとおり、そのわずか1ヵ月後の2016年4月21日、プリンスは享年57で亡くなった。もし伝記本を書き始めるのが、せめてもう数年早いタイミングだったら……と思うと、本当に悔やまれてならない。

が、しかし、すべての夢が完全に砕け散ったわけではなかった。伝記本の共著者として編集作業を担当していたダン・パイペンブリングは、プリンスがすでに書き終えていた原稿や、今後のリライトのために残していた創作メモなどを取りまとめ、1冊の本として出版することを決意。さらには米国・ミネソタ州のミネアポリス郊外にあるペイズリー・パークの邸宅倉庫の大捜索が行われ、発掘され数々のお宝(幼少時代の貴重なフォト、手書きの歌詞などなど)も併せて収録されることになった。かくして誕生したプリンス回顧録『THE BEAUTIFUL ONES』は、本国アメリカで昨年10月に刊行。本人が望んだ形ではなかったかもしれない……でも、少なくとも、今の僕らは、プリンスが晩年に仕上げようとしていた集大成的な伝記本のビジョンを、ほんの少しだけでも共有できるようになったのだ。

2020年4月には『THE BEAUTIFUL ONES プリンス回顧録』(押野素子 訳、DU BOOKS)として刊行され、現在は日本語でも楽しめるこの話題の書。今回は一部を本誌でも引用できる運びとなった。ここにご紹介するのは全体のハイライトとも言えるプリンス自身の執筆原稿のうち、冒頭のパート1の1〜4。両親の想い出、初めてのキス、そしてファンクとの運命的な出会い……自由な独白風の文章を読み進めていくうちに、あなたはきっと、子供の頃のプリンスの記憶にぐいぐいと引き込まれ、やがては、すべてを“疑似体験”している気にさえなってくるはずだ。(内瀬戸久司)



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