「初期のピンク・フロイドはより実験的だったし、僕自身もそれをすごく楽しんでいた。ただ、だからこの時期のピンク・フロイドのほうが良かったとか、そうではなかったというように比べられるものではない」
『狂気』より前のピンク・フロイドのレパートリーに焦点を当てたプロジェクト、ニック・メイスンズ・ソーサーフル・オブ・シークレッツは、まさにニック・メイスンにしかできないものであったし、ロジャー・ウォーターズ、デヴィッド・ギルモアの両氏とも等間隔で交流を続ける人だからこそ、その解釈や挑戦も説得力を持っている。
そんな自信が言葉の端々からあふれ出すインタビューとなっているが、あまりに巨大になりすぎてしまったピンク・フロイドという存在を、あらためてシンプルにファンたちの身近へといざなってくれるかのようだ。
フロイドが現役時代にライブであまりやることがなかったような曲が復活し、新しい物語の道を歩ませようとする流れをこうして聞かされることで、今回リリースの『ライヴ・アット・ザ・ラウンドハウス』に接する楽しみが拡大するはずだ。(大鷹俊一)
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