「何より最悪だったのは、私の声なんてまったく届かないと、完全に自信を失っていたこと。『私を必要としている人なんているの?』って。もっと言えば、私なんて邪魔者なんじゃないかっていう気持ちもあった」
昨年の2枚のアルバムのサプライズ・リリースと、2017年発表の『レピュテーション』のドス黒い憤怒。ふたつの衝撃の狭間にあっただけに、もしかしたら記憶からうっかり抜け落ちているのかもしれない。だがテイラー・スウィフトは2019年に、『ラヴァー』とシンプルに題され、ジャケットにはまさにラブでピンクに染まった雲が写る、重要なアルバムを発表している。ここにご紹介する記事は、同作のリリースに際して収録されたロング・インタビューだ。
これに先立つ数年間の彼女と言えば、輝かしいキャリアにさらなる磨きをかけていたわけだが、メインストリーム・ポップ界でスターとして君臨することに付随する、セレブリティ・ゲームのダークサイドにも直面。相次いで噴出したトラブルに翻弄され、パブリック・イメージのコントロールに四苦八苦していたテイラーが、どれだけ深刻な精神的ダメージを受けていたか、その言葉から切々と伝わってくる。ドン底を味わい、過ちから学んでルールを書き換えて、彼女が心の平穏を手に入れるまでの過程を改めて振り返ることで、『ラヴァー』以降の聴こえ方は変わるのではないかと思う。 (新谷洋子)
テイラー・スウィフトのインタビューは、現在発売中の『ロッキング・オン』3月号に掲載中です。ポップ・スターから絶対的アーティストへ進化したテイラーの「現在地」を考察するロング・レビューもお楽しみください。
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