NMEが命名するところの「Crank(風変わりな) Wave」とも呼ばれるUK/EUにおけるギター・バンドの新潮流。ざっくりと近年台頭する「ポスト・パンク」勢を指したタームだが、そのなかでフォンテインズD.C.やアイドルズに続く一角として注目を浴びてきたのがこのスクイッドだ。ブライトン出身の5人組で、待望のデビュー・アルバム『ブライト・グリーン・フィールド』が〈WARP〉から5月にリリースされる。
地元のカフェでファンクやソウルを演奏するカバー・バンドが前身となったスクイッド。紆余曲折をへて、モード・ジャズやクラウトロックを聴きながら寝室でアンビエント・ミュージックを録音することから始まったというそのサウンドは、ポスト・ジャンル世代ならではのきわめて折衷性の高い代物だ。
〈WARP〉が見初めたらしくダンス/エレクトロニック・ミュージックの影響を色濃く受けた演奏はシャープで推進力があり、かと思えば、サイケデリックなドローンへと振り切れてもみせるダイナミクスが彼らの醍醐味。ブラスやストリングスも交えて多彩に音を組み立て、エクスペリメンタルであることに臆さぬ積極果敢なスタイルは、同世代のブラック・ミディやブラック・カントリー・ニュー・ロードと肩を並べて勢いを感じさせる。
アルバム『ブライト・グリーン・フィールド』では、過去にシングルも手がけたダン・キャリー(フォンテインズD.C.、ゴート・ガールetc)をプロデューサーに起用。8分を超える“Narrator”や“Pamphlets”など、まるでLCDサウンドシステムとレディオヘッドがカンを演奏するような前衛的でプログレッシブな楽曲も収録されている。
さらに、BCNRのルイス・エヴァンス(サックス)、そしてUKジャズ・シーンの気鋭エマ=ジーン・サックレイらがゲストで参加。イギリスの都市を舞台に現代社会をディストピックに描いたストーリーと相まって、広大無辺なスケールを感じさせる作品だ。「(この世の中に)相反する考え方や様々な議論があるということ自体、自分たちの音楽に通じるものがあるというか」(ルイス・ボアレス、G)。ロッキング・オン次号(5月7日発売・6月号)にはインタビューも掲載! (天井潤之介)
『ロッキング・オン』最新号のご購入は、お近くの書店または以下のリンク先より。