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カール・パーマー(エマーソン、レイク&パーマーなど)
プログレ畑を歩んだカール・パーマーを有名にしたのは、エマーソン、レイク&パーマーでの活動だった。“展覧会の絵”のロック・アレンジなど、クラシックの要素を大胆にとりこんだ3人組である。
パーマーの演奏はバディ・リッチなどジャズからの影響が濃い一方、ティンパニやチューブラー・ベルなど様々な打楽器を揃え多彩な音色を発した。ギターレスのキーボード・トリオでオーケストラ的サウンドを実現するというバンドのコンセプトに沿ったドラマーだったのだ。
それがよくわかるのが『恐怖の頭脳改革』だろう。“悪の教典#9 第1印象”ではせわしなくフレーズを叩き出し、ボーカル、キーボードと拮抗するもうひとつのメロディとして機能している。また、ヒナステラのピアノ協奏曲の改作“トッカータ”では、当時最新のシンセ・パーカッションを織り交ぜたソロを聴かせた。
タイムをキープするよりリード楽器のごとくプレイしたと本人が発言している。ジャズやクラシックに対応していても、行儀のいい演奏ではない。正確さより勢い重視なのが、むしろ魅力だった。ライブのソロ演奏ではバス・ドラムを両足で連打し続けながらTシャツを脱いで上半身裸になり、背面の銅鑼を打ち轟かせ、吊るした鐘の紐を噛んで引いて鳴らすといったパフォーマンスをした。ハード・ロック的なショーマンでもあったのだ。(遠藤利明)
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