上品であり泥臭く、スタイリッシュだが親密さがある。それらを同居させた魅力を放つのが、ここに登場する5人組バンド・luvだ。メンバー各々がクラシック、ジャズ、モータウン、メタル、ロックなどのルーツを持ち、2010年代前半に登場したSuchmos、SANABAGUN.、Yogee New Wavesなどの音楽を小中学生の頃に経由し、2025年の今にネオソウル、アシッドジャズ、ヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージックを基盤にした「フューチャーソウル」をバンドで鳴らしている。ただクールにキメるだけじゃない。洗練されたサウンドに、英語っぽくも聞こえる遊び心満載な日本語を乗せて、でも実はただのおふざけではなくその奥に深い想いを込めるなど、「クール」と「笑い」を何層にも重ね合わせて心を掴んでくる。「自分と周りの日常の幸せを大切に、気取らず、マイペースに歩んでいこうよ」──そんなバンドのメンタリティも、今の世の中のムードを汲んでいる。その表現の源泉にあるものとは。
インタビュー=矢島由佳子 撮影=Adi Putra (『ROCKIN'ON JAPAN』2025年4月号より抜粋)