インターネット検閲を容認する著作権海賊行為取締法案にアーティストらが反対表明

現在アメリカの議会でネットでの著作権侵害を規制する強硬措置を可能にする法案が審議されていて、それが大きな波紋を呼んでいる。法案はふたつあってそれぞれオンライン海賊行為防止法(SOPA)と知的財産保護法(PIPA)になるが、問題となるのはこの両法律が施行されると、アメリカ政府には裁判所の許可なくして著作権侵害にあたると思しきサイトへの一般的なアクセスを遮断する権限が与えられてしまうということ。

この法案への反対表明として1月18日にはウィキペディアやグーグルの英語版など7千に及ぶサイトが一斉に通常のサーヴィスを閉鎖し、SOPAとPIPAの法案の立法化反対を訴えるページを掲載している。ウィキペディアらは法案は著作権の保護にはさしたる効果もなく、ただインターネットでの自由なオープンな発言行為が阻害されると主張している。

これに呼応して、本来ならこうした法律は自分たちの著作権を保護するものだとするはずの、さまざまなミュージシャンも法案反対に賛同を表明していて、たとえば、トレント・レズナー、MGMT、ナダ・サーフのダニエル・ロルカ、OKゴー、アマンダ・パーマー、エリン・マッキーオンらが次のような共同声明を17日に発表している。

「わたしたちは社会のほかの人たちと同様、自由でオープンなインターネットから大きな恩恵にあずかってきました。インターネットによりファンと繋がることができて、新しいオーディエンスへと手が届くことができるようになりました。フェイスブック、ツイッター、ユーチューブなどのソーシャル・メディア・サイトを使うことでわたしたちは百万単位のファンに直接訴え、相互に対応することができますが、ほんの数年前にはこんなことは想像もできないようなことでした」

そして声明は、今回の法案は大勢の人々が頼っている合法的なサイトに対しても不当に乱用される可能性があると指摘している。

その一方でレディオヘッドは自身のオフィシャル・サイトのトップに「PIPAを止めろ」というメッセージとリンクを掲載し、サーカ・サヴァイヴはオフィシャル・サイトを緊急閉鎖し、次のようにツイートしている。「SOPAとPIPAに反対するためサイトをブラック・アウトしてるよ。言論の自由の方が$より重要だから」。

また、プラシーボはツイッターで単純に法案への意見を問いかけ、OKゴーは「SOPA反対表明のため、本日はオフライン」とツイートしている。

ザ・フレイミング・リップスは「止まれ」の交通標識に「SOPA」を組み合わせた画像をツイッターのユーザー画像に変更していて、ルーツのクエストラヴは「1度やったらもう引き返せないって諺あるよね」とツイートしている。リンディ・オルテガは「インターネットの検閲? これってどういうこと?」とより直接的に問いかけている。

ディスターブドのヴォーカルのデヴィッド・ドレイマンは次のようにツイートしている。「SOPAとPIPA法案で政府は言論と表現の自由の最後の砦であるインターネットを検閲できるように管理下に置こうとしている」「この法案が修正され、この国の基礎になっているさまざまな自由な権利を規制することなしに、海賊行為を取り締まるものになるよう心から願う」。

その一方で大手著作権管理会社やレコード会社などの多くはSOPAとPIPA法案可決を支持している。
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