実刑判決を受け、現在拘留中のロシアのパンク・ユニット、プッシー・ライオットの3人のメンバーのうちひとりが釈放された。
プッシー・ライオットの3人のメンバー、マリア・アレキナ、ナデズダ・トロコニコヴァ、エカテリーナ・サムチェヴィッチは現プーチン大統領政権への反対デモを2月にパンク・ロック・ライヴとして断行し、ロシア正教会のプーチン支持への抗議としてモスクワのキリスト救世教会で即興ライヴを行い、その後逮捕。3人は8月17日に宗教的憎悪による騒乱罪に問われ、2年の禁固刑という実刑判決を受けたが、判決に対して控訴を起こしていた。
10月10日に行われた審理で判事はエカテリーナの弁護士の訴えを受け入れ、エカテリーナのみ釈放という判決を下した。エカテリーナの弁護士は控訴でエカテリーナが問題のパフォーマンスの際、すでに警備員らによって会場から放り出されてしまっていたため罪状にはあたらないと訴えていて、判事がこれを認める形になった。判決が読み上げられると、残されたマリアとナデズダは喜んでエカテリーナと抱き合ったとBBCが伝えている。
プッシー・ライオットの身柄拘留と有罪判決は各国で非難を呼んでいて、マドンナ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ビョーク、ポール・マッカートニーなどを含む大勢のミュージシャンらが釈放を要求していて、ロシアのメドヴェージェフ首相も釈放されるべきだったのではないかと発言している。
マリアは控訴の審理で「わたしたちは全員が無罪です。この判決は覆されるべきです。これではロシアの司法制度は信用が置けないものとして見えてしまいます」と訴え、実際のパフォーマンスについては「もちろん、信者のみなさんを攻撃したかったわけではありません」と説明した。
また、マリアは事件当初バンドが表明した謝罪はまったく無視されたと指摘し、逆に反省の弁を求められたがそれは問題外だとも訴えている。「反省を表明することは絶対に受け付けられません。それは恐喝に近い行為です」とマリアは主張し、反省は個人的な行為で裁判とは関係ないはずだと述べたという。
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