ローリング・ストーンズ、結成50周年記念ツアー実現までの背景を詳細に語る

ローリング・ストーンズ、結成50周年記念ツアー実現までの背景を詳細に語る

先週発表されたロンドンとニュージャージー州ニューアークで2回ずつ開催されるザ・ローリング・ストーンズの結成50周年記念ライヴだが、バンドは今回のライヴや活動再開の背景などを『ローリング・ストーン』誌に語っている。

キース・リチャーズは今回のライヴの意義について「バンドをこれだけ長い間続けるってことはロックンロールの歴史においてはもちろん、音楽の歴史のなかでもかなり珍しいことだと思うよ。でも、それをやるために俺は生まれたようなもんだからな。つまり、音楽の歴史を作ると」と語っているという。またキースは今回の活動が4回で終わるはずもないことを次のように説明している。

「ザ・ローリング・ストーンズでの俺の経験から言わせてもらえば、山車がいったん動き出したらそれはもう止まらないってことなんだ。だから、(ツアーの可能性については)そうだとははっきり言わない形でうんと言わせてもらうよ。たった4回のライヴのためにこんな面倒なことしてるわけないだろ!」

また、ミック・ジャガーはここにきて、バンドが結成50周年について必ずしも後生大事に思っているわけではなくて、内輪ではむしろ冗談のネタになっているくらいだと明かしているが、そうした気分について「今度のツアーも『ファック・オフ』と命名したかったくらいなんだ。でも、誰も同意してくれなかったんだよ」と『ローリング・ストーン』誌に語っている。ここで「ツアー」と口を滑らせているのも注目される。

さらにロニー・ウッドは高額に設定された今回のチケットについて「俺だったら払うよ」と語っていて、その根拠として「俺たちだってリハーサルだけでもう百万(ドル、約8000万円)くらい金を使っているし、しかも、まだ行程の半分も終わってないからね。それに今度のステージだって用意するだけで数百万ドルは確実にかかるからね」と説明しているが、この話ぶりではとりあえずもうツアーは確定だと判断してもいいだろう。

なお、ロンドンとニューアークでのライヴでは噂された通り、オリジナル・ベーシストのビル・ワイマンと2代目ギタリストだったミック・テイラーも参加するそうだが、これは数曲についてのみという形になるそうだ。キースは1993年以来、バンドのベースを担当しているダリル・ジョーンズが過小評価され過ぎていることを不満にも思っているようで、ベースの割り振りについてはダリルとビルで話し合って決めればそれでいいとまで語っているそう。また、テレビでも課金放映されるニューアークでの2回目のライヴについてはエリック・クラプトンやジェフ・ベックらの客演も考えられるとロニーは語っている。

今回の再結成までの道程の間に特に取り沙汰されたのは2010年に刊行されたキースの自伝『ライフ』でキースがミックをこき下ろす表現を多々登場させ、それが原因で生じたというミックとキースの不仲説だが、その後のぎくしゃくした関係を乗り越える作業も実際に行われ、キースには面と向かって謝ってもらったとミックは語っている。「だから、もう忘れたことにしないとね。すべて水に流したということだよ。おかげで、ぼくたちもまた一緒に仕事をやっていけるということだからね」

キースも謝罪したことを認めていて、バンドがツアーに出るためにまずやらなければならなかったことだったと語っている。また、今回ミックとの確執については「50年も夫婦をやってりゃ痴話げんかをやって当たり前だってもんだし、俺たちの場合には別にそれを公でやっても構わないと思ってるんだよ。俺たちはこれをキッズのためにやってるんだから、どっちみち離婚はできないんだからさ」と説明している。

また、ア・ビガー・バン・ツアーが2007年に終わってからバンドにとって解決しなければならなかった問題のひとつが、数年前まで頻繁にメディアでも取り沙汰されていたロニーのアルコール癖で、これはロニーも無事乗り越えて現在断酒してから3年目に入っているという。

その一方でキースの酒量もかなり減ってきていて、キース自身も自分は薬物からも酒からもなんの影響も受けないと力説しているが、これについては酒を断ったロニーが次のように持説を展開している。「キースと今は一緒に演奏していて本当に楽しいよ。でも、前回のツアーの最後の方ではキースも酒に溺れて周りが見えなくなってたから、結構苦痛になってきていたんだよね。今じゃキースも自分の体調に気を付けないといけないんだとわかってるんだよ」

また、現在の年齢にいたっての活動についてキースは次のように語っている。「スタジオに入る時なんかには、『俺なんかもうよいよいの爺なのに』って思いがちだけど、そうじゃないんだよ。ここ5年で鬱積したエネルギーの効果は見違えるほどのものだからね」

その一方でミックは次のように語っている。「みんな人間だからね、永遠に続かないってことはわかってるはずだし。だけど、その一方でなるべく元気でいようって努力はしてるわけだよ。明らかに19歳の頃にやってたようなことはできないわけだから、違うことをやんなきゃいけないんだ。人生に奇跡なんてないんだからさ」

ただ、ドラマーには負担がすべて腰と背中に響くから、チャーリー・ワッツには相当負担になっているはずだとロニーは語っている。

また、これが最後だという切り札は絶対に使いたくないとミックは説明している。それはいずれストーンズで新作をまた出したいと考えているからで、「知り合いでその切り札を使った人はたくさんいるけどね、絶対に返り討ちに遭うことになるんだよ」と説明している。

11月リリースの最新コンピ盤『GRRR!』に収録され、先頃公開された新曲"Doom and Gloom"について、この曲はミックが用意してきた曲で、冒頭のギターについても実はキースではなくミックによる演奏だと明らかにしている。これについてキースは「全然気にしてないよ」と語っている。「元々、俺が弾き方を教えてやんなきゃあんな風にも弾けてなかったんだから」とのことだ。
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