プッシー・ライオットのカーチャ・サムチェヴィッチ、投獄されている二人のメンバーの釈放を目指すと語る

プッシー・ライオットのカーチャ・サムチェヴィッチ、投獄されている二人のメンバーの釈放を目指すと語る

昨年2月に現プーチン大統領政権への反対デモをパンク・ロック・ライヴとして断行し、ロシア正教会のプーチン支持への抗議としてモスクワのキリスト救世教会で即興ライヴを行って逮捕され、禁固刑を言い渡されたプッシー・ライオットだが、そのプッシー・ライオットのドキュメンタリー映画『Pussy Riot: A Punk Prayer』が今年のサンダンス映画祭で発表された。

バンドのうちのエカテリーナ(カーチャ)・サムチェヴィッチ、マリア(マーシャ)・アレキナとナデズダ(ナージャ)・トロコニコヴァの3人が3月に逮捕され、8月に宗教的憎悪による騒乱罪として2年の禁固刑という実刑判決を受けたが、その後バンドは判決に対して控訴を起こし、10月にカーチャだけが無罪放免となっている。

映画はこの公判の模様とメンバーの親族や友人、そして弁護士らの証言を紹介し、ロシアにおける父権社会の特徴や裁判制度にメスを入れつつ、メンバーそれぞれの生い立ちも検証していくものになっている。映画はマキシム・ポズドロヴォキンとドキュメンタリー監督のマイク・ラーナーの共同演出による作品になっているが、上映の後にはカーチャが会場とのスカイプ・インタヴューに応じ、ポズドロヴォキン監督が取材を行った。

プッシー・ライオットは投獄されてから、ビョークやビースティ・ボーイズのアドロック、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、フランツ・フェルディナンドなど、さまざまなアーティストがライヴでプッシー・ライオットの現状を訴えたことでオーディエンスにも伝わり、メディアでも報じられるようになったが、実際に投獄中にその事実は知っていたのかという問いにはカーチャはそういう噂は耳にしていて、どんどん話が大きくなっていってマドンナのパフォーマンス(モスクワ公演で3人の自由を訴えた)の話を聞いて、自分たちを支援している人たちがいると確信したと語っている。

また、自分だけが無罪放免になったことについては、3人で遠隔地の収監施設送りになるのだと覚悟していたので特に何も感じなかったとカーチャは話していて、他の二人は喜んでくれたし、自分も翌日には面会に二人を訪れたので特にしこりは残っていないはずだと語っている。

また、二人の処遇についてはまだ法的な対抗措置が尽きたわけではないので、バンド側はこれからも二人の釈放を求めて闘争を続けるし、二人が釈放された後も表現へのアプローチをまったく変えるつもりはないと語っている。

また、これまで作品をリリースとして残していないプッシー・ライオットだが、それについては次のように答えている。

「わたしたちは売るという行為はすべて拒否していて、この先も商品としてはなにもリリースする予定はないの。自分たちのアートを商品化することはありえないから」

カーチャは2月のパフォーマンスについては、「政治的表明とフェミニズムが融合したアートであって、まったく処罰の対象には値しない」と主張しているが、今後は「合法的にナージャとマーシャを釈放することが最大の闘争となる」と語っている。ただ、ロシアでの一般的な世論としては事件の扱われ方のせいで、自分たちのパフォーマンスも「宗教的な狼藉行為」として見られていて、基本的に自分たちのことは否定的に捉えられていると思うとカーチャは語っている。
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