ダフト・パンク、新作では「最終曲以外まったくサンプリングを使っていない」と語る

ダフト・パンク、新作では「最終曲以外まったくサンプリングを使っていない」と語る

4月12日より開催されているコーチェラ・フェスティヴァルにおいて転換中のステージ・ヴィジョンでファースト・シングル"Get Lucky"のティーザー映像が流され話題を呼んだダフト・パンクだが、『ローリング・ストーン』誌はトーマ・バンガルテルとギ=マニュエル・ド・オメン=クリストの二人とパリで接触し、新作についての談話を伝えている。

それによれば、5月22日(水)にリリース予定の新作『ランダム・アクセス・メモリーズ』の制作はパリで2008年に始まり、これまでやったことのないレコードを探し求めるという感触があったとトーマは説明している。特に初期段階のうちにエレクトロニック機器を使って制作したデモにどうしても満足できず、自動操縦システムで制作されているような印象が拭えなかったとトーマは語っている。

そこで「これまで機器やサンプラーでやってきたことを人とやりたくなった」ことで今作のアプローチがはっきりしたとトーマは説明しており、その結果として今作ではサンプリング音源は最終曲"Contact"の冒頭以外ではまったく使っていないとのことで、ドラム・マシーンも収録曲13曲のうち2曲でしか使っていないという。

トーマとギ=マニュエルは二人とも新作でライヴ演奏を行っていて、ヴォーカルについてもかつてのヴォコーダー風の音を出すためにオートチューンを使うのではなく、実際のヴォコーダーを使ってピッチなどは手動で調節するなどといった試みを行ったという。昨今の人間の声をロボット風に加工するというアプローチを取るのではなく、「ロボット的な歌声を表現や感情という意味では最大限まで血の通ったものに近づけたかった」とのことだ。

また、これまでシックのナイル・ロジャーズの参加なども取り沙汰され、数曲でギターを担当していると明らかにしているが、そのほかにもトップクラスのセッション・ミュージシャンが新作に参加しているとギ=マニュエルは明らかにしている。こうした今回のアプローチについて、二人はエレクトロニック・ダンス・ミュージック・シーンへの違和感も動機してあったという。

「エレクトロニック・ミュージックは今はもう安全地帯に入っていて、数センチの進歩も遂げていないんだよ」とトーマは語っているが、さらにこのジャンルが現在アイデンティティの喪失に見舞われているとも説明している。

「曲を聴いても誰の音なのかわからないんだよね。個性がないからさ。たとえば、スクリレックスが成功したのは彼だとわかる音になってたからなんだよ。だから、ダブステップの曲を聴いて、スクリレックスの曲じゃなかったとしても、彼の曲だと思ってしまうんだよね」

さらにトーマとギ=マニュエルの二人は新作制作の傍ら、カニエ・ウェストの新作用のコラボレーションも行ったことを明らかにしている。なお、これまで一部でダフト・パンクが今年はツアーはしないと報じられてきたが、二人は新作のツアーを予定していないことを認めている。いずれツアーに乗り出す時には、新作のツアーとしてではなく、キャリア全体を包括したライヴとして行いたいとトーマは語っている。
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