スウィンギング・ロンドンと呼ばれた、60年代のイギリスで活躍した写真家のエリック・スウェインの未発表作品の写真展がロンドンで6月に予定されていると『ザ・ガーディアン』紙が伝えている。
写真展ではまだ深い皺に刻まれる前のキース・リチャーズの表情や童顔として当時は知られていたミック・ジャガーが得意気に毛皮のコートをまとった姿、白髪で有名なチャーリー・ワッツの髪がまだ黒々としていた頃の姿を捉えた写真が展示されていて、その他にもスーパー・モデルの先駆けとなったグレース・コディントン、ファッション・デザイナーのオッシー・クラークやマリー・クワント、スウェインの師匠格の名写真家デヴィッド・ベイリーとベイリーの当時の妻だった女優のカトリーヌ・ドヌーヴの写真などが展示されており、ロンドンが世界の音楽とファッションの中心地だった当時の空気をよく伝えるものになっているという。
また、スウェイン自身もジョージ・ハリスンと交際する前のパティ・ボイドと結婚を前提にした交際を続けていて、セレブの一人となっていたが、その後、広告やファッションの仕事を専門とするようになり、華やかな世界からは距離を置くようになったという。
スウェインはかつてパリで経営していたコーヒー店のノウハウを応用してロンドンにコーヒー店を60年代に開業すると、当時ロンドンではまともなコーヒーを出す店がほとんどなかったこともあって大繁盛することになり、有名人のたまり場になり、そこでデヴィッド・ベイリーと知り合うことになったと、スウェインの息子で映画プロデューサーのトムは説明している。
その後、写真への関心をベイリーに見込まれ、カメラを買って自分でやってみろと勧められたスウェインは独学で撮影を続けていくうちに注文も請けるようになった。現像も独学でマスターするとコーヒー店をたたんで写真家として一本立ちし、被写体の独特な捉え方で注目の写真家として脚光を浴びることになった。
「父は夢をそのまま生きたんだよ」と子供の頃からストーンズの面々のエピソードを不思議な気分で聞かされていたというトムは『ザ・ガーディアン』に語っている。
「ちょうどいいタイミングに絶好の場所に居合わせて、60年代のロンドンの扉が父に向かって開かれたんだ。そうやって父もあの一味になったわけだね。当時はすべてが無頓着なノリで、誰でも入り込めたものだったんだ。そうした空気が父の写真にはよく表れてるよ。でも、70年代、80年代に業界も変わっていって、人脈も失って、人も父のことを忘れていったんだと思うな」
その後、スウェインはがんで2007年に亡くなったが、生前に自身の持ち物を整理した後、「ごみに捨てるな」という張り紙をした段ボール箱を遺し、その中に入っていたのが今回の展覧会の素材となった、60年代のロンドンを捉えたネガやプリントの山だったとか。
なお、トムが聞かされたエピソードによると、キース・リチャーズがリムジンで父スウェインを迎えに来ては買い物に付き合わせられることがよくあったとか。キースはなにか気に入ったものをみつけると、その全色を揃えるのが癖だったとスウェインは息子に語ったという。
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