2009年に急死したマイケル・ジャクソンの母親であるキャサリンと遺族団は、興行団体AEGに対して控訴することを明らかにしている。
マイケルとAEGは2009年にロンドンのO2アリーナで50公演からなるライヴ・シリーズ「ディス・イズ・イット」を企画し、その準備していたが、リハーサルを行っていたロサンジェルスで6月25日にマイケルは心臓発作により急死した。その後、マイケルは主治医のコンラッド・マレーから麻酔薬プロポフォールを過剰に処方されていたことが明らかになり、マレーは業務上過失致死で訴追され、有罪判決を受けた。しかし、マイケルの遺族側は、AEGはマレーがマイケルの主治医にふさわしいか確かめることなく雇用したとしてAEGにマイケルの死の責任があると訴訟を起こして追及していた。
先週言い渡された判決では、遺族側の主張は退けられ、AEG側に責任はないと陪審が言い渡したが、マイケルの母と遺族側は控訴を起こすだけの資料は充分にあるとしていて、遺族側の法定代理人を務めているブライアン・パニッシュは次のように『ニューヨーク・デイリー・ニュース』に語っている。
「キャサリンはタオルを放り込むつもりはないですよ。キャサリンは先日の法廷で最終的に陪審員たちもマイケルに対して好意を抱いた形で終わったという実感を得ています。それにわたしたちも、知りたい情報をすべて集めるまでは追及の手を緩めるわけにはいかないのです。ですから、今日から新章の始まりなのです」
公判に5ヶ月を費やし、最終的な審議に6時間をかけた先の陪審員判決ではAEGにマイケルの死の責任がないことと、マレーが主治医にふさわしくないわけではなかったと認められたが、パニッシュと遺族の法律顧問団がこの判決に対して控訴を起こすには30日の猶予があるという。
陪審員代表のグレッグ・フォアマンは先の判決にあたって所見を述べる際、陪審はマレーが主治医にふさわしくないわけではないという結論に至ったとはいえ、「だからといってわたしたちはマレーが医師としての職業倫理を満たしていると思っているわけではありません」とも語っていた。
その一方でAEG幹部のランディ・フィリップスは次のように判決について語っている。
「わたしはマイケルにはクリエイティヴなパートナー、そして友人として全幅の信頼を置いていました。わたしたちは世界にとってかけがえのない音楽的天才を失うことになりましたが、わたしとAEGの誰もマイケルを死に追いやるようなことに加担していないということを陪審に認めてもらって安堵していますし、深く感謝しています」
公判を通してAEG側は、マレー医師があくまでもマイケルに雇われた人物で、AEG側の誰もマイケルの薬物依存症については知らなかったと主張していた。AEG側の主任弁護士マーヴィン・S・パトナムは「陪審の判決にもう文句はなにもありません。まったくもって正確な判断をしてもらったと思っています」と判決について語った。
一方、パニッシュは判決の際、次のように語っていた。
「もちろん、ご遺族は判決の結果に満足はしていませんよ。こちらとしては法的に可能なことすべてと事実を照らし合わせて、今後どうするか決めていきたいと考えています」
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