先週2週間ほどの短いアメリカ・ツアーを終えたアークティック・モンキーズだが、滞在中だったアメリカで『ローリング・ストーン』誌の取材に答えている。
これまで新作『AM』でリズムが強調された点についてドクター・ドレーを意識したなどと語ってきたアレックス・ターナーだが、今回あらためて新作について「ほとんど(デヴィッド・ボウイ演じるジギー・スターダストが率いるバンドの)ザ・スパイダーズ・フロム・マーズがアリーヤをカヴァーしてるようなものなんだよ。ザ・スパイダーズ・フロム・マーズもアリーヤも、どちらもどこかギラギラしたまばゆい、銀河系のような、宇宙的な感じを俺は受けるんだよ」と形容してみせている。
また、歌詞的には失恋をモチーフにした楽曲が多く見受けられ、アレックスは交際相手だったモデルでテレビ司会者のアレクサ・チャンとの破局がモチーフになっていると具体的には語るのを避けたが、実体験をもとにした楽曲が多いことは次のように認めている。
「間違いなく、今回みたいに素材になるものが揃っていれば、相当にパワーアップするもんなんだよ。だから、要するに“Do I Wanna Know?”については、俺としては(エルヴィス・プレスリーの)“Are You Lonesome Tonight?”にジェット・ブースターをつけたような曲にしたかったってことなんだろうな」
その一方でライヴについては、そもそもライヴというのは不自然な環境なので、自ずから防御的になるものだとアレックスは説明していて、それで「演奏の間、伏し目がちになったり、逆にテンションを上げてアグレッシヴになって、観客と協調しなくなる傾向に陥りがちなんだよ、かつての俺みたいにね」と説明している。しかし、ブラック・キーズのサポートを務めた前回のアメリカ・ツアーで一皮剥けたことをアレックスは語っている。
「アメリカ以外でなら、それまでもアリーナ・クラスの会場でやったこともあったけど、この時はスモーク・マシーンもあれば、照明もしっかり揃ってて、しかも、音楽を知り尽くしたリスナーが詰めかけてるわけだったからね。そのおかげで、自足するっていうんじゃないけど、俺ももっと、あんまりやりすぎないようになったところもあると思うんだ。それとあのブラック・キーズのツアーでは『あのお客さん、まだブラックベリーをずっといじってるよ。次の曲から俺たちが帰るまではもう絶対に見させないからな』って気合いを入れてたのをよく憶えてるよ」
また、アレックスはアメリカとイギリスとではキャリアの軌道の乗り方やバンドの意識も相当に違うことを説明していて、自分たちの駆け出しの頃の気分を次のように説明している。
「(バンドを始めた時には)俺は16歳で、まだ本気で将来は消防士か宇宙飛行士になりたいって思ってたくらいなんだよね。こう言うと本当にイギリス的なんだけどさ、俺たちのそもそもの野心って、ガレージで書いた自作曲を最後まで仕上げられればそれでいいやっていう程度のもんだったから。でも、それをようやく初めてライヴで披露するくらいになったら、途端にものすごい大事になっちゃってさ。そこでなんか急に心境の変化があったんだよ。『なんだよ、俺たちにもこういうことができるのか』ってね。そこから突然、『よし、俺たちこれからこれを極めるぜ、グラストンベリーに出るからな』っていう意気込みになったんだよね」
また、バンドとコラボレーションを頻繁に重ねているクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのジョシュ・オムは記事中でバンドが経験してきた荒波を「連中が経験してきたようなことは20歳以下の若いバンドだったら99.9パーセント、バンドがダメになるようなことだったはずだよ」と説明し、アークティック・モンキーズの絆の強さを称えていて、アレックスについては「アレックスっていうのは、頭の回転が早くて、おかしくて、機転が利いて、危なっかしくて、注意深いっていうのがすべて同時に起きてるようなやつなんだ」と語っている。
さらにジェイ・Zと同じでまったく歌詞を書きつけてないというアプローチにも舌を巻いたとジョシュは語っていて、次のようにアレックスの性格を説明している。
「滅多に動揺することもないんだよ。ウィットも剃刀のように鋭いしね。自分っていう意識がどっしりしてるんだよね。それがないとさ、結局、いいように振り回されちゃうもんなんだよ」
なお、今年のグラストンベリーでは母親がフェスでの出番を観に来たことでも話題を呼んだアレックスだが、自分の母については「俺の母親はドイツでレッド・ツェッペリンを観たことがあるんだよ。これって母親にしてはポイント高いよね」と語っている。