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バックホーンにとって2003年は実り多き年だった。彼らの名前を知らしめることになった“未来”とそれに次ぐ2枚のシングル、日本のロックに決して消えることのない深い傷跡を残したマスターピース・アルバム『イキルサイノウ』、そして数え切れないほどのライヴ。そんな彼らの2003年を締めくくる今日のステージ。いつだってバックホーンのライヴは世界と真正面から対峙して血反吐を吐いてぶっ倒れるまでノー・ガードで殴り合うような鬼気迫るもので、それゆえにこれまでフェスのような場ではバックホーン初体験者の中には思わず引いてしまう人もいた。でも今日のライヴは違った。もちろん今日もキレまくってた。特に菅波栄純のギターのキレキレっぷりたるや、もはや神がかり、あるいは悪魔憑きの領域。選曲だっていきなり初っ端が「犯らせろアバズレ」と叫ぶ“幾千光年の孤独”で、そのまま「キリストのうなじを舐める女」と喚く“孤独な戦場”に流れ込む、そんなハードコアなものだった。でも、もう誰も引かない。フロア前方で狂喜乱舞しているファンだけでなく、ほぼフルに埋まったギャラクシー2ステージの一番後ろの方にいたオーディエンスまでライヴが進むにつれてどんどん引きつけられていく様子が手に取るようにわかった。何故か?バックホーンが大きくなったからだ。鋭利でヘヴィなサウンド、剥き出しの魂をロックに焼き付ける意志、そんな自分たちの表現の核を何一つ損なうことなく、 2003年バックホーンはバックホーンのまま途轍もなく大きくなった。そのことを鮮烈に証明するモニュメンタルな35分だった。(宇野維正)
大阪から来た二人組。
終わった直後で、汗だくでした。