BUMP OF CHICKENと『3月のライオン』のコラボレーションが奇跡的である理由

BUMP OF CHICKENと『3月のライオン』のコラボレーションが奇跡的である理由

11月28日に羽海野チカのマンガ『3月のライオン』10巻とBUMP OF CHICKENの新曲『ファイター』が同時発売されることが発表されました。
詳細は、こちら(http://www.bumpofchicken.com/lion/)。
今回のプロジェクトに寄せてのオフィシャルコメントとして、以下の文章を書かせていただきました。
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BUMP OF CHICKENと羽海野チカのコミック『3月のライオン』がコラボレーションをするという話を初めて聞いたとき、鳥肌が立った。
音楽とコミックのコラボレーション――よくあることのように一瞬、思えるかもしれないが、普通はその間にはテレビアニメとかドラマとか映画といったものが挟まらなければ成立しない。しかし、今回のコラボレーションにそれはない。にもかかわらず実現に至った。いや、むしろこの両者のコラボレーションに何かが挟まっていてはいけなくて、ダイレクトでなければならなかった。BUMP OF CHICKENの音楽が伝えてきたことと、『3月のライオン』が伝えてきたことの間には、あまりにも特別な、奇跡的とも言えるような共通点があるからである。
『3月のライオン』の主人公は、幼い頃に事故で父と母と小さな妹を失い、心に傷を負ったまま将棋のプロ棋士となり、孤独な生活を送っていた少年・桐山零。2007年に『ヤングアニマル』で連載がスタートして以来、この作品を読みながら、個人的に僕は、自然と心の中でBUMP OF CHICKENの音楽が鳴るのを感じていた。たとえば生きている意味を見失ったまま生きることに導かれる零の姿に“ハルジオン”を、戦う棋士の性としてまわりのモノを喰いちぎってでも生きる道へと手が伸びてしまう零の姿に“ギルド”を、引き取られた幸田家のなかに存在しているだけで義理の姉弟たちの命を押しのけてしまうことに気付き家を出た零の姿に“カルマ”を、僕は重ね合わせながら読んだのである。そして川本家の3姉妹や「放課後将棋科学部」の人々などとの交流のなかで生きる意味や喜びを取り戻していく零の姿と、消えない悲しみや痛みがあるからこそ“HAPPY”や“ray”といった強く明るい楽曲を生みだしてしていく近年のBUMP OF CHICKENの姿は、もはや自分の中でもどちらが先かわからない形で重ね合わさっている。
もちろんこれらのBUMP OF CHICKENの楽曲と『3月のライオン』の物語は、勝手に僕が重ね合わせているだけで、直接的に影響を及ぼし合っているわけではない。しかし偶然に共通点を持っているわけでもない。お互いがお互いのファンであることは確かだが、そんな単純なことでもない。敢えて言葉にするなら、「生きること」に同じ真剣さで向き合って表現活動をしている両者が、必然的にシンクロしているということである。
BUMP OF CHICKENと『3月のライオン』がコラボレーションする――それはふたつの、別個でありながら同時代を同感覚で生きる物語が奇跡的に交錯する瞬間である。そこにどんな楽曲が生まれ、どんな漫画が生まれるのか。その誕生の瞬間が、それぞれのファンとして待ち遠しくてたまらない。
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11月19日発売のCUTでは、今回のコラボレーションの特集記事を掲載します。
詳細は、続報しますのでお楽しみに!(古河)
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