それぞれの『悪童』、それぞれのNACS(戸次重幸編)

『悪童』のなかで戸次重幸が演じるのは、物語の発端になる役。閉鎖されたレジャーセンターに立て籠もって幼馴染たちを呼び出す、「ミソッカスのチャック」と呼ばれてグループのなかでどこか軽く扱われている男である。舞台を観た方の多くも思ったと思うが、絶妙の5人のキャスティングのなかでも、もっともわかりやすくハマっていると言える。
実際のTEAM NACSにおける戸次重幸はと言うと、ふざけたりバカ話をしているときは、まさにチャックのような存在。そして真剣にもの作りをしているときの彼は今、目の前にある問題に対する見解をあまり躊躇せずにストレートに言葉にしていき、現実的にポジティブな答えを導き出そうとする存在だ。今回のインタビューでもTEAM NACSの現状や『悪童』の意義を5人のなかで最も裸の言葉で語ってくれているが、そのまっすぐな語り口もまた彼がチャックである所以のように思えた。

(古河)
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