星野源『YELLOW DANCER』は、いわゆるポップアルバムではない

星野源『YELLOW DANCER』は、いわゆるポップアルバムではない

ポップでダンサブルなアルバムである。
しかし、このアルバムを聴いて昂揚する感じ、体を動かさずにいられなくなる感じは、その言葉だけでは説明できていない。

それは、このアルバムがドーナツみたいな形をしているからだ。
華やかなメロディや豊饒なサウンドや躍動感のあるグルーヴの中心に「空虚」という穴が空いているのだ。
ドーナツの穴そのものは、ただの空間だから別に美味しくない。
でも、この穴があるからドーナツは美味しい。
『YELLOW DANCER』のなかでも、“時よ”や“SUN”や“地獄でなぜ悪い”や“Crazy Crazy”など、特にポップでダンサブルな楽曲の真ん中には「意味がない」や「深い闇」や「嘘で出来た世界」や「無常の世界」がある。
一方で“ミスユー”や“”Soul”や“”口づけ”や“夜”のように、「空虚」の輪郭をふちどるペン画のようなタッチの曲もある。
これらが合わさって緻密に「空虚」を浮き彫りにしているから『YELLOW DANCER』のポップさは、いつでもポップじゃいられない空虚な僕たちの心を高揚させ、よっぽどのことがなければ人前で踊りたくない空虚な僕たちの体を踊らせてしまう。
その感じがすごく日本的で、まさに『YELLOW DANCER』だなと思う。(古河)
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