『すずめの戸締まり』にはなぜモノローグも歌モノの劇伴も無いのか? 新海誠と野田洋次郎が明かす「集大成にして最高傑作」への道のり

『すずめの戸締まり』にはなぜモノローグも歌モノの劇伴も無いのか? 新海誠と野田洋次郎が明かす「集大成にして最高傑作」への道のり

発売中のCUT12月号には、新海誠監督最新作『すずめの戸締まり』の特集を掲載しています!

すでに多くの人が作品をご覧になっていると思いますが、宣伝コピーでも歌われている通り、まさに新海監督の「集大成にして最高傑作」と言える本作。CUTでは、新海誠監督の超ロングインタビュー、そして『君の名は。』『天気の子』に続いて音楽を担当した、RADWIMPSの野田洋次郎さんへのインタビューを敢行しました。

監督がデビュー作『ほしのこえ』から一作ごとに向き合ってきたすべてのテーマに向き合いつつも、新海映画の代名詞であるモノローグや歌モノ劇伴が無いなどのチャレンジもあり、新たな地平に立ったと言える『すずめの戸締まり』。この作品への道のりを語った読み応えたっぷりのテキストの中から、一部発言を以下に抜粋します。

僕自身は直接的な被災者ではないんですけど、あの震災は僕にとっては世界が書き換わってしまった瞬間だったし、自分自身も書き換わってしまった。あれ以前の自分とは違う自分になってしまった出来事だったと思うんです。(中略)足元の地面がいつかなくなってしまうかもしれないというモードからは抜けられなくなるというか。自分が済んでいる場所は、このままの形が保証されているわけではないんだということを身をもって知ってしまうと、日々の考え方も変わる。そういう、2011年に書き換わってしまった自分の内部が辿り着いた場所が『すずめの戸締まり』の物語だったと思います(新海)

初期の脚本ができた時にスタッフに「新海さんは今回、初めて自分じゃない人を書いたんですね」って言われたのが、嬉しかったんです。鈴芽は、自分の頭で考えて、想像したキャラクターではあるんですけど、やはり自分自身ではなかったので(新海)

『君の名は。』以降、劇中で歌うような映画が爆発的に増えた気がして。ひとつの王道を作り上げちゃったんだなっていうか。それは、すごい誇りでもあるけど、僕らがそこに追従しても意味がないと、新海さんも考えていたと思います(野田)

エンターテインメントを作ると言いながらも、物語の難しさもあって、それに相応しい主題歌のあり方がみんなわかんなくて。僕自身もわかっていなかったんですよね。あまりにもテーマが多すぎて――災いとか、親子みたいなものとか、いろいろ切り取れるじゃないですか。でもよく考えたら、これはふたりの恋の物語だったというところを、何も示していなかったなと。だから、ちゃんと恋愛の歌で終わるべきなんじゃないかなと思って、“カナタハルカ“を提案しました(野田)


『すずめの戸締まり』の成り立ちをより深く知れるふたりの言葉、ぜひ映画鑑賞後にご覧いただきたい特集です!(安田季那子)

CUT12月号は現在以下にて購入可能です。

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