いま発売中のCUT2月号で音楽を題材にしたマンガのコラムを書いた。
具体的には、さそうあきらの『ミュジコフィリア』と羅川真里茂の『ましろのおと』について書いたのだけど、原稿を書くタイミングでこのマンガの新刊を読めていたらきっと間違いなく取り上げていたと思う。
新川直司『四月は君の嘘』。
舞台は中学校で、主人公はある日突然ピアノを弾けなくなってしまった元天才児と、現在進行形の天才バイオリニストである奔放な美少女。
まず素晴らしい青春マンガであり、クラシックマンガであり、あるいはキャラクターの造形から演奏シーンのあまりの美しさ、素直に感情移入させる勢いのある展開まで、誉めればきりがない。
いわゆる群像劇の色が濃くなりそうな気配も感じさせつつ、あくまでふたりの天才がそれぞれに異なったジレンマに向き合うドラマに仕上げてるのもいいなあと思う。
その必然の結果として、読後感がスポーツものの傑作のそれに似てくるのがおもしろいし、個人的に一番やられてるのもそこです。
すでに話題の作品なんですが、雑誌で触れきれなかったのが自分としては心残りだったので。(小柳)