松ケン『敗者』、初の著作はすごく松ケンの本だった

松ケン『敗者』、初の著作はすごく松ケンの本だった

これは松山ケンイチが書いた初の著作『敗者』。
書き下ろしの日誌になっていて、大河ドラマ『平清盛』に向き合った1年2ヶ月をめぐる、本当に赤裸々な内容になっている。

これまでに何度もインタビューをさせてもらった経験から言わせてもらうならば、これはまさに松山ケンイチそのもののような本だ。
インタビューで彼はいつもじっくりと考えながら、ひとつの質問に対してもっとも適した答えを出してくれようとする。
それは、「正しい」答えを探しているというより、「今自分が言うべき」答え、もっと言うと、「今自分が話して許される」答えを探しているようなイメージだ。
曖昧な言い方になってしまうけれど、この本は松ケンのそんな「姿勢」が何よりもわかるものになっている。
作者と会話をしているような作品、という形容はよく使われるけれど、対象にインタビューをしているような気がしている本というのはあんまりないと思う。
そういう意味でもすごく貴重な本だし、実際、本当に面白い。

また、この本で語られる作品は、『蒼き狼』『男たちの大和』『デスノート』『ドルフィン・ブルー』『誰かが私にキスをした』『デトロイト・メタル・シティ』『カムイ外伝』『ノルウェイの森』『GANTZ』などなど。
つまり、俳優・松ケンのほぼすべてであって、それぞれの時期に何を思っていたのか、といったことまで書かれているのもすごくいいし、あと、かつてちょっとひねくれた気分で聴いていたのがG.B.H.だったなんてエピソードも知ることができてなんだか嬉しかった。

いい本。オススメ。(小柳)
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