『あまちゃん』第1週をふり返る
2013.04.06 19:12
宮藤官九郎脚本、能年玲奈主演のNHK朝の連続テレビ小説、まずは第1週「おら、この海が好きだ!」が終わりました。
2008年、「海女」と「北三陸鉄道」という観光の二枚看板の存続の危機に直面している岩手県・三陸海岸の架空の過疎の町・北三陸市が前半の「故郷編」の舞台。
三陸の美しく味わい深い風景のなかで、絶妙にハマったキャスト陣がご当地名物を交えつつ賑やかに物語を彩り「日本ってやっぱりいいな」という嬉しさと共に毎日をスタートできるようなドラマ。
つまりクドカン、しっかり「朝ドラ」してます。
もちろん、驚きを表す袖浜の方言「じぇ!」を「( ' j ' )/」、さらなる驚きを表す「じぇ! じぇ!」を(「(' jj ' )/」と言う顔文字にしてしまったり、現地の人でないとわからないような方言のときは字幕テロップが出たり、劇中アニメーションは鉄拳が手掛けていたり、音楽を大友良英が担当していてオープニング曲がインストにも拘らず強烈に印象的だったり、クドカンドラマならではの要素はふんだんに散りばめられています。
しかし第1週からいきなり引き込まれてしまった最大の理由は、やはり宮本信子が演じる夏ばっぱと、小泉今日子が演じる春子と、能年玲奈が演じるアキの母娘3代の関係の描き方の深さ。
北三陸から一歩も出たことがないという夏ばっぱ、18歳のときに家出をして上京した春子、そして東京では暗くて大人しいのに北三陸では開放的になれるアキ。
夏ばっぱがアキが海に突き落として「飛び込む前に、あれこれ考えたってどうせ、その通りにはなんね。だったら何も考えず飛び込め。なんとかなるもんだびゃ。死にたくねえがらな」と笑うとアキも海で「気持ちいい!」と笑うシーンとか、夏が春子に「東京にいる時のおめえは本来のおめえなのが?」と問いかけるシーンなどに、この似てるのに違う、違うのに似てる母娘3代のコントラストが見事に現れているのでした。
観ている人がそれぞれの心の中にある「故郷」に新鮮な気持ちで触れることのできるドラマ『あまちゃん』、これからがますます楽しみ!(古河)