昨夜、「M-1グランプリ」を観て、つくづく思ったこと、もうひとつ。
ライブって難しい。
つまり、その日、その場、その状況や環境や条件などなどによって、
出来が全然違ってしまう、ということです。
って、そんなのあたりまえだけど、「M-1」みたいな極限状況だと、
それがよりいっそうはっきりと表れる、ということです。
要は、ナイツも、ハリセンボンも、東京ダイナマイトも、
僕は(ってことは「多くの人が」ってことだ)、
もっともっと面白い時を、何度も観たことがある。
でも、あの場では、ああなってしまった。
ネタ選びだけじゃなく、コンディションや、順番や、場の空気や、
緊張度合いや、その他もろもろもうあらゆる要素によって、
ああなってしまう、ということだ。
で、「その他もろもろもうあらゆる要素」であるがゆえに、
自分たちの意志や努力だけではどうにもならない、
「運」とか「タイミング」とか「偶然」による部分も
大きいんだなあ、という話だ。
で。言うまでもないが、音楽の場合もまったく同じです。
8年くらい前だと思うけど、RIP SLYMEのPESに
インタビューしていて、そんな話になったことがある。
「RIPのライブってすごいよね」という話をしたところ、
いや、そんなことはないんだと。
時には自分たちでも「いやあ、今日はよかった!」って思えるライブもあるんだけど、
何が困るって、そこで「次もこの調子で」って思っても、
じゃあ何をどうしたら、次もこの調子でできるのかが、わからないのが困るんだという。
このよさを次回にも。と思って、そのライブのビデオを自分たちで
観たりするんだけど、
「あ、ここでこうしたからよかったんだ。
じゃあ次もこうやればいいんだ」
みたいなことは、皆目見当がつかないという。
確かに、自分たちでわかるくらい「いい」んだけど、
その原因がわからない。
だから、その「いいライブをやれた」という経験が、
積み重なっていかないというか、次回につながらないというか、
そんな感じなんですよねえ。
という話でした。
まあ、偶然とか言ってないで、「今日よかった」って結果になる、
その精度を上げていくのがプロでしょ、って言われたら、その通りなんだけど。
でもなあ。難しいよなあ。
というようなことを、エンディングで、今年も優勝者の後ろでこの世の
終わりのような顔をしている、笑い飯西田を見ながら考えたのでした。