「音楽寅さん」続きの続き
2010.03.14 15:39
さらに前回の続きです。
前半のDVD上映会は、前回書いたような内容。番組で放送されたが
DVDに収録できなかった、下品&くだらなすぎなシモネタ炸裂の
替え歌や、権利関係でDVDに入れられなかったカヴァーなどを、
次々と披露。
で。この番組の名物の、いわゆるマッシュアップ企画の
映像も公開された。
演歌とロックを合体させたり、唱歌とロックを合体させたり。
ただ、いわゆるダンス・ミュージックでいうところのマッシュアップと
違うのは、それを生演奏でやるところ。
ロックの名曲(ジミヘンとか)の演奏に演歌の名曲がのっかったり、
唱歌で始まったのがサビでいきなりロックになったり。
それらも、やはりDVDには収録できないようで、いっぱい見せて
くれたんだけど、ほんと圧巻だった。というか、面白かった。
というか、さっきから「マッシュアップ」って書いてるけど、
この番組、1回目が2001年、2回目が2009年なわけで、
ってことは2001年時点ではまだ「マッシュアップ」なんて
言葉は一般化していなかったわけで、つまり、何年も
先取りしていたことになる。
すごい。と、一瞬思いそうになるが、実はもっとすごいのだ、
ということを僕は知っている。
「僕は」というか、多くのファンは覚えていると思うが、桑田さん、これ、
1980年代に、既にやっているのです。
1986年と1987年のクリスマスイブの日の夜、
『メリークリスマスショー』という、桑田が中心となった特別番組が、
日本テレビで放送された。
これ、今思ってもありえないくらい、とんでもない番組だった。
当時のシーンを代表するあらゆるロック(ポップスも)・
ミュージシャンが集まって、この番組のためだけの
セッションやカヴァーをくり広げる、しかもただ演奏する
だけじゃなくそれらの1本1本がバラエティの企画にも
なっている、というもの。
司会は明石家さんま。
リングの中で桑田と清志郎が歌でののしり合い、それを古館伊知郎が実況する。
“TAKE FIVE”にどシモネタの詞をつけて、KUWATA BAND+
爆風スランプ+アルフィーによるドゥーワップで歌う。
ストリッパーが踊る前で、そのご開帳に向かって、
ARB石橋凌+小林克也+桑田が、切々とクラプトンの
“ワンダフル・トゥナイト”を歌い上げる。
などなどが、2時間みっちり。
「スケジュール調整」「交渉」「調整」「アレンジ」
「リハーサル」「本番」等々、ここに投入された手間ひまと
労力と制作費を想像すると、今でも失神してしまいそうなくらい、
豪華な番組だったわけです。
友達がそのビデオを持っていて(うちにはまだビデオがなかった)、
一緒に「すごい」「ありえん」とうなりながら、何度も何度も観たものです。
で、その番組で既に、その演歌とロックのマッシュアップ、やっていたのだ。
しかも2アーティストのコラボで。
Charによるストーンズの“ジャンピング・ジャック・
フラッシュ”+カールスモーキー石井が歌う“星降る街角”
鈴木雅之歌うジェームズ・ブラウン“I FEEL GOOD”+
アルフィー桜井賢による“函館の女”
とか、そういうの。
しかも、鈴木雅之がびしっとワンコーラス歌ったと思ったら、
ギンギンの衣裳に身を包んだ桜井が歌いながら床から
せり出してくる、みたいな演出。で、曲がブリッジごとで、
超かっこよくつながっていたりする。
それを、地上波の全国放送の21時からの2時間番組で、
放送したのだ。今から20年以上前に。
すごくない?
つまり、「音楽寅さん」の原形はそこにあったわけです。
ってことを、観ながら思い出したりしました。
なお、この『メリークリスマスショー』、ハナから「ビデオとか
CDには残さない」という企画であり、この番組のために作られたオリジナル曲
(作詞ユーミン! 作曲桑田!)も、リリースされなかった。
なんですが、Youtubeにはいろいろ上がってます。
今観てもやはり、というか今観るとさらに、ものすごい。
探してみてください。