iPodはいらない。
トモフスキーの「ガン告知はいらない」ではないが、
そういう生活に、いつの間にかなっていたことに、気がついた。
iPod、嫌いなわけではない。
特に、nanoやshuffleなどの機種は、
「あんなに小さい中にCDがこんなにいっぱい入るって、
なんて賢い奴なんだ」と、とても好ましく思っており、
何年も愛用してきた。
しかし。iPodやウォークマンを持っている方。
一番使うのはいつですか?
まず間違いなく、通勤通学時だと思います。
ただ、私、自転車通勤なのですね。
以前は、その行き帰りに、ペダルをこぎながら
音楽を聴いていたんだけど、1年くらい前にやめた。
あれ、本当に危ないことがわかったので。
毎朝、会社に向かう途中、私と同じように
自転車通勤をしている人の7割くらいが、
耳にヘッドホンステレオをつっこんでいますが、
「ああっ、やめたほうがいいって!」と、
片っ端からコードをむしりとりたくなる、
そんな欲求と戦う毎日です。
というわけで、通勤時に音楽を聴く、ということがなくなった。
雨の日は電車で行くけど、そういう時はカバンに大量に
「読みたい本」と「読まなければならない本」が入っている。
聴きながら読む、という人もいますが、私には無理です。
結局、どっちも頭に入ってきません。
なので、「会社から近所の本屋に行くまでの3分」とか
「ソバ屋までの2分」とかしか、ヘッドホンを耳に装着する機会が
なくなってしまったのです。
2分。1曲も聴けません。そうすると、いちいち聴こうとしなくなる。
じゃあ音楽自体聴かなくなったのかというと、そんなことはない。
夜中、新譜を片っ端から聴いてチェックしたり、
アナログとCDをとっかえひっかえしたりしている時間は、
外で聴けない分、濃くなっている気がする。
で。「あれ? iPod、なくても平気になってるじゃん」と気づいて、
ちょっと驚いたわけです。
別に「iPodなんかいらねえよ」とか言いたいわけではない。
ただ、ネットにしろ、メールにしろ、PCにしろ、
携帯にしろ、DVDにしろ、ワープロにしろ、
ウォッシュレットにしろ、すごく便利なものを手に入れてしまうと、
そのあまりの便利さゆえに、「それがない=ものすごく不便」って
ことになって、手放せなくなるじゃないですか。
それがなかった頃には、戻れなくなるじゃないですか。
誰もがそうであるように、僕もそのように暮らしてきたんだけど、
そうではなかった大変に珍しい例、それがiPodだった、ということです。
ノートPCでDJをやる、というのは最近普通だけど、
中にはiPodでやる人もいますよね。
フラカングレートマエカワなどは、クラブにiPodを2つだけ
持ってきて、1時間DJやったりします。
それはいいんだけど、DJブースで、ヘッドホンして、
半目になりながらiPodをカリカリやって曲を選んでいるさまが、
昔、ウォークマンのCMに出ていたニホンザルに、
あまりにも似ていて、いつも爆笑してしまいます。
しまいますが、さすがに親しき仲にも礼儀ありなので、
本人に、それを言ったことはありません。
こうして書いちゃっちゃあ、
言うより悪いと思いますが。