millennium paradeのディストピアを突き抜ける希望について

millennium paradeのディストピアを突き抜ける希望について - 『THE MILLENNIUM PARADE』2月10日発売『THE MILLENNIUM PARADE』2月10日発売
未来への警鐘としてディストピアを描くSF小説の時代があって、その不安を払拭するように最後はエンターテインメントとして希望を描くハリウッドSF映画の時代があって、何かを諦めたかのようにディストピアが多様化したコンテンツに日常として溶け込んでいる時代があって、例えばmillennium paradeが描いているのはその先という感じがする。
未来と言うよりは、完全に想定範囲内の現在の延長としてのリアルなディストピアを緻密かつ壮大に描き、そこで自分たちが失った何かを取り戻しながら進化すると言う道を選択して生き残る。
希望はフィクションではなく、自分たちが現実的に変わるという行動で獲得するものだという熱い信念が楽曲にもMVにもライブにもアルバムにも貫かれているのだ。

それはユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』『ホモ・デウス』『21 Lessons』や、中国のSF作家・劉慈欣の『三体』シリーズや、ビリー・アイリッシュやThe 1975、いろいろな思想家、作家、アーティストの最先端のアプローチに通じる。
millennium paradeがテーマ音楽“2992”を手掛けた、NHK『2030 未来への分岐点』のアプローチも、絶望的なディストピアのような現実を詳細にレポートしながら、我々が変わることによってのみ得られる希望を伝えるというものだ。

millennium paradeの音楽が敷居の高いものだと思われず、素通りできないどころか、そこに深く共鳴する人がどんどん拡がっている今の状況に、音楽の力、そして上っ面じゃない本気の希望を感じずにはいられない。(古河晋)
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