3人で作った音が、今とこれからのくるりを示す音になった――ニューアルバム『感覚は道標』を聴いた!

3人で作った音が、今とこれからのくるりを示す音になった――ニューアルバム『感覚は道標』を聴いた!
『感覚は道標』を通して聴いてまず感じたのは、気持ちいいな、ということだった。
オリジナルメンバーの森信行を迎え、伊豆スタジオで寝食を共にし、3人でのジャムセッションを中心に制作されたというこの作品は、くるりの歌を聴いたときに感じる自由さや柔軟さ――なんだか世界中を旅しているような、2次元と3次元を行き来しているような、時代をタイムスリップしているような――そんな感覚が凝縮された一枚だ。

そして、聴いたあと、「ああ、これがくるりなんだ」という心からの納得感があった。
ROCKIN’ON JAPAN11月号のインタビューで、岸田繁は「『ほんまにくるりってこれです!』っていうのを、ちょっとやりたかった」と言っている。これは10月13日(金)に公開される、アルバム制作過程を追ったドキュメンタリー映画『くるりのえいが』での、「くるりがくるりになるための曲みたいなものをやろう」という発言の意図を訊かれての受け答えだが、まさにその通りのアルバムだと思った。

きっと、くるりが思う「くるり」と、リスナーも含めた周囲の人たちが思う「くるり」はちょっとズレている。ファン一人ひとりが思う「くるり」も異なるだろうし、岸田繁にとっての「くるり」と佐藤征史にとっての「くるり」も違う部分があるかもしれない。

そんな、みんなの中にあるバラバラの「くるり」が、この作品で一本の線がつながったように「くるりってこれだわ」と腹の底から思える気がするのだ。でもそれは「森がいた頃のくるり」のことではなく、しっかりと「今のくるり」だし、かつ「これからのくるり」を示す音にもなっているからすごい。

これが計算しつくされて作られたものというよりは、3人の感性や感覚を持ち寄って、ジャムセッションをしながら作っていったら自然とそうなっていったというのが面白いし、リスナーとしてはとても嬉しい。バンドっていいなあ。
約20年ぶりの3人の音だけど、今、そしてこれからのくるりが堪能できる今作、大事にたくさん聴いていきたい。

そして発売中のROCKIN’ON JAPAN11月号では、アルバムについて、映画について、3人でじっくりと語ってくれている(なんと森さんはJAPAN初登場!)。撮り下ろし写真も素敵に仕上がったので、アルバムとあわせてぜひぜひチェックしてほしい。(藤澤香菜)

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