妖しげなアーティストビジュアル、不気味なMV、ダークな詞世界、性別不詳な歌声……サーキットシーンでもその名をよく見かけるようになったChevon(シェボン)が異彩を放ちまくっている。
早耳リスナーの間で最初に話題になった“No.4”は、軽快なギターロックに乗った韻が心地よい厭世的な歌詞が、今どきっぽいイラストのMVで届けられた。耳に残りやすいキャッチーな曲だなという印象だが、これはChevonというバンドを知るうえでは氷山の一角にすぎなかった。
今年5月に公開された“Banquet”のMVにはメンバー本人が出演しているが、ボーカルの谷絹茉優のルックスと、高音もがなりも行き来する声にギャップがあるし、その歌い姿からも只者ではない威圧感をおぼえる。映像はただ料理を振る舞っているだけのはずなのだがすごくおどろおどろしい。
そして、今週リリースされた新曲“大行侵”のモチーフは「怪獣」。そういうパニックムービーを見ているのではないかと錯覚する荒廃した世界観のMVからも、“Banquet”同様に泣く子も黙る狂気を感じるが、楽曲自体は奇をてらっているわけではなく、すんなり耳に入ってくる王道感が残っている。
一体Chevonって何者なんだ?といろんな作品に触れれば触れるほど、その不思議な魅力にハマっていく人が今後続出するに違いない。(有本早季)
『ROCKIN'ON JAPAN』1月号のご購入はこちら
Chevonは、知れば知るほど掴めなくて、その深みにハマっていくバンド――新曲“大行侵”の壮大すぎるMVを観て
2023.12.08 15:00