小山田壮平は「人」を歌うアーティストだと思っていて、今作の1曲1曲も、実際に小山田が訪れたさまざまな土地で思いを共有した人や親しい友人、憧れの人などこれまでに出会った人々をモチーフにした楽曲が並ぶ。『時をかけるメロディー』は、その人たちへの愛や感謝や願いが記された手紙を読んでいるような、温かくて切ない光を放つ作品だ。
突然大きいことを言うが、人生とは、夢のような日々も一瞬のきらめきに過ぎないこと、人間は儚くて脆いものだということを理解し、納得し、受け容れていく過程なのかなと、小山田壮平の歌を聴いていると思う。
彼の楽曲や歌声には、やさしさとしなやかさが通底している。それはたぶん、彼がとことんまで人と向き合い、自分と向き合い続け、人生の喜びも無常さも受け容れているからなのかな、と思ったりする。儚いからこそ美しい人々と、一瞬だからこそ永遠に覚えていたい風景。彼の楽曲を聴いていると自分の中にもあるそんな記憶が呼び起こされる。そして、安っぽい言葉になってしまうけれど、私もやさしい人でありたいと思う。と言ってもそう思い続けるのはやっぱり難しいので、小山田壮平の歌を聴くたびに決意を新たにするのだけど……。でも、そう思うことを諦めたくはない。
公開中の小山田壮平インタビューでは、『時をかけるメロディー』がこんなにもやさしく光り輝く作品になり得たのはなぜなのか、じっくりと語ってもらいました。ぜひ作品とあわせてチェックしてください!(藤澤香菜)
小山田壮平の2ndアルバム『時をかけるメロディー』がこんなにも温かくて切ない光を放つのはなぜ? インタビューでその答えに迫りました
2024.01.25 10:00