ギラついているんだけどあたたかみがある。
ささくれだった思いをすくい取って吐き出している、とかではなくて
あくまでストレート。
変化球さえも剛速球で飛んでくる。
全11曲を聴き終えると、なんだか子供の頃の夏休みを思い出すような。
つまり、アルバムタイトルにある「自由」という言葉には、
いろいろとそれを取り巻く物事が、1曲目“はじめから自由だった”で《外れちまおう周回軌道》と歌われるようにともに周回軌道しているのだ。
それは「社会」だったり「友達」だったり「恋愛」だったり「過去」だったり「未来」だったりする。
しがらみというやつだ。
そんなものをぶち壊さんとするのが、4thフルアルバム『はじめから自由だった』だ。
ムツムロアキラは今回のインタビューで、「『詞を書く』という時間そのものが楽しいし、エクスタシーになっている状態」と語ってくれたが、確かに今作には否が応でも胸ぐらを掴んで離さないような骨太で力強いワードが並んでいる。
《この期に及んで気付いたけど はじめから自由だった僕ら!》(”俺はじめから自由だった”)
《俺のスピードで お前はお前のスピードで》("サレンダー”)
《どうかしてると思ってた 奴の気持ちがわかる度 自分の中の何かが壊れてく》(“十七歳”)
《突き返されたデザインに 最後まで貫いたフォント いつも笑顔のコメディアン ネタの中に隠した本当》("無駄な抵抗”)
上げだしたらキリがないのだが、これらの言葉はただ頭上を通り過ぎていくのではなくしっかりと胸の奥でキャッチできるようになっている。
それは、今作のサウンドバリエーションが非常に豊かであると同時にとても肉体的に鳴らされるからだ。
リード曲“DANCING IN THE ROOM”が象徴しているように、今作に多数収録されているダンサブルなミドルチューンは彼らの最新モードを体現している。絶好調であると。
肉体的にも精神的にもバンドの成熟を感じさせる今作について、メンバー全員にロングインタビューで迫りました。誌面で彼らの思いを確かめてください。 (橋本創)
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ハンブレッダーズの最新作『はじめから自由だった』は我々の肉体を解放する──メンバー全員インタビューでアルバムの背景に迫りました!
2024.02.21 19:30