ビッケブランカの最新曲"Never Run”が放つ強烈な中毒性──MVの本人ダンスも注目な必殺チューン!

ビッケブランカの最新曲"Never Run”が放つ強烈な中毒性──MVの本人ダンスも注目な必殺チューン!
自由と解放に満ち満ちた時間が終わりを告げる、その数秒前にジリジリと心を圧迫するように押し寄せる焦燥。
ああ、もう終わってしまう。あれもしたい、これもしたい。
何もしたくない。ただそばにいたい。
それでも問題は山積みで、そろそろ現実と向き合わないとヤバい……。
やること、やりたいこと、やらないといけないことが多すぎてパニックになり、一線超えて逆に冷静、みたいな。
簡単に言えば学生時代の夏休みが終わる直前。


そんな安堵と焦燥が輻輳する極限状態を解像度高くグローバルな音像と緻密なアレンジで描き出したのが、ビッケブランカの最新曲“Never Run”だ。
MVでビッケブランカ本人が披露するダンスも、楽曲が持つ二面性を実にうまく象徴している。

サビで披露される、両手を小さく広げ、細かく前後左右に刻まれるステップはクリオネのようでもあり、水面を漂うアヒルも彷彿とさせる。
ジタバタと必死にもがきつつも冷静を装うような、むき出しの本能と理性が交錯して「もっと」とリスナーの心を煽り立てる。
いつ踏まれるのかわからないブレーキ、鋭い緩急で身体を貫くビート、ラストは静謐なピアノでほんの僅かな息継ぎをする。
しかし、「もっと」が身体を再び突き動かす、リピート必至の必殺チューン。

ミックスとアレンジにはJosh Cumbeeを迎え、彼と共同で作詞まで行ったというが、全編英語詞の中を高音で鳴り響く日本語のコーラスも最高にクール。
海外公演で吸収したものを都度吐き出しながら柔軟に形を変え、いつまでたっても掴みきれない存在であり続けるビッケブランカのはかりしれない音楽衝動は、リスナーごとまるっと飲み込み「逃げるなよ」とフロアに引っ張り出してしまうほど強力で強欲。滾る思いごと根こそぎ持ってかれそうになる。(橋本創)


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