Awkmiuというバンドを知っているだろうか?
幼少期から舞台をフィールドに活躍し、アートにも造詣が深いシキ(Vo・G)、ニューヨーク出身でラフマニノフや上原ひろみを影響源とするAki(Key)、Official髭男dismなど数多のバンドのサポートとしても円熟したプレイを見せる関根米哉(Dr)、「つかみどころのないキャラクターはバンドの中でも弟的な存在(公式サイト曰く)」であるカヤケンコウ (B)からなる、4人組バンドである(カヤだけ情報が少なかった)。
プロフィールだけで何やらただものではない感じがぷんぷんするこのバンド。これは早いうちに観ておかなければと思い、代官山UNITで開催されたツアー「HEKIREKI」ファイナル公演に行ったのだが、ライブがすさまじくヤバかった。
この日の公演はゲストとして迎え入れられたOmoinotakeのアクトからスタート。メンバー3人にパーカッションのぬましょうを加えた編成で、フロアを揺らしに揺らしまくる。ベース・ドラム・パーカッションというリズム隊はもちろん、「ピアノも実は打楽器である」ということを思い出させる濃密なグルーヴの中を藤井怜央(Vo・Key)の憂いのある声が、美しいメロディとともにクリアに突き抜けていた。夏の気配が近づいてきた頃に聴く“空蝉”はとことんエモーショナルでよかったし、“幾億光年”から最新曲“蕾”が連打されたパートは彼らが「踊れて泣ける」曲を地続きで鳴らし続けてきたことを確かに証明していて泣けた。
続くAwkmiuのライブ。今まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのOmoinotakeにバトンを渡されるのは新進気鋭のバンドからしたら荷が重いんじゃないだろうか?と思っていたのだが、そんな考えは杞憂だったと瞬時に確信させられる圧倒的な演奏が待ち受けていた。音が塊となって押し寄せるようなヘビー級のサウンドと、その音圧に負けないというか音圧ごと食らい尽くすようなシキの堂々たる歌声。TVアニメ『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』エンディングテーマである代表曲“アロー”や最新EPのタイトル曲“楽園はいらない”はOmoinotakeにも通ずる完全無欠のポップソングとしてきらめいていたし、ダークで激情的な“Masquerade”はシキのシアトリカルな表情も相まって息を飲む仕上がりだった。
音源でも素晴らしいことは前提として、どの曲もライブという場を与えられることでより生き生きと精彩を放っているような印象があったし、なんというかパフォーマンスのスケールが会場から溢れ出しそうなほどどんどん膨張していくようなライブだった。この生々しく獰猛な躍動感を味わえるうちに、早くライブを観ておいたほうがいいと思う。(畑雄介)
新世代ポップバンド・Awkmiuの代官山UNIT公演は、圧倒的な音の塊が会場から溢れ出しそうなほど膨張していくようなライブだった
2024.06.01 14:40