菅原圭の新曲“深香”(しんか)からは、そんな心の葛藤が痛いほどに伝わってくる。
《足掻く自分が恥ずかしくて/明日が怖くて死にたい》──後ろ向きな歌詞が綴られているが、力強く感情溢れる歌声からはむしろ生への渇望を感じさせられる。怖くても変わりたい、それでも夢を持っていたいという、人間らしさむき出しな感情表現に心を奪われてしまう。前向きな応援歌では決してないけれど、人間の弱い部分がありのまま描かれた歌に、自分だけが抱えている不安ではなかったのだと少しだけ孤独感が和らいでいく。
そして、ロックテイストで壮大に展開していく曲調には新鮮さを感じ、菅原圭の音楽表現の「進化」も見せつけられた。初の実写MVもあわさって、より一層楽曲のシリアスだけど幻想的な世界観が際立っている。
菅原圭の歌世界をMVとともにぜひ堪能してほしい。(有本早季)
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