孤独のトップラッパー、KREVA
2009.11.24 22:12
初のZEPP。アルバム「心臓」は前半がメロウ、後半はアッパーな曲を固めた、なかなかにハードルの高いアルバムであり、KREVAがツアーでそれをどのように表現するのか注目していた。結果は、ソロ5年のスキルを総動員してヒップホップへの愛情を全身でライヴハウスから溢れ出すくらいに表現した、想像を超えたステージだった。
3人のDJが生々しく織り成すサウンドはバンドには生み出せない高揚感に満ちていた。KREVAのラップはメロディアスであると同時に意味と感情を打楽器のように脳に次々と叩きこんだ。
特にソロ以降のKREVAはヒップホップのシーンからは大きく距離を取りながら、誰よりもヒップホップの本質に向き合い、それを革新的なポップミュージックとして成立させようとチャレンジしてきた。孤独な戦いだったが今、KREVAの目の前には彼が作り上げたヒップホップシーンが多くの観客の熱い支持と共に広がっている。ヒップホップは少なくとも彼の手元では図り知れない可能性の光を放ち続けている。
そして弾けなかった鍵盤楽器でボコーダーを通した声を、懸命に、しかし見事に深いエモーションを込めて操った彼の姿は感動的だった。(古河)