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    でんぱ組.inc、”W.W.D II”のMVを観て思った、アイドルが「書かせる」名曲のこと

    でんぱ組.inc、”W.W.D II”のMVを観て思った、アイドルが「書かせる」名曲のこと

    でんぱ組.inc、これはファンにとっては本当に待望のMV公開だと思う。
    ”W.W.D II”のMVが公開、です。
    アイドルはほとんどの場合、曲を作らない。
    歌詞も書かないことがほとんどだ。
    となると、いい曲に恵まれるかどうかは運次第、プロデューサーの才能次第、ということになる。
    それは間違ってはいないが、じゃあまるっきり正しいかというと全然そんなことはない。
    なぜなら、アイドルはその魅力と輝きと物語によって、作家に「今わたしたちが歌うべき曲」を作らせることができるからだ。

    たとえば、(例はたくさんあるのだけど)ももクロが発表する楽曲がことごとく名曲だったのも、今のモーニング娘。の楽曲が彼女たちのダンスを美しく際立たせるのも、あるいは、かつて松浦亜弥がリリースする新曲がいちように神懸ったクオリティだったのも、すべて偶然ではなく必然だ。
    スタッフの見事な仕事がそこにあるのは間違いないが、やはり、ももクロはももクロの物語として、モーニングはモーニングの魅力として、松浦亜弥は松浦亜弥の才能として、作家のインスピレーションを刺激し、引き出し、名曲を書かせ、引き寄せている。
    だから、彼女たちが歌う曲には、歌詞も書かず曲も書いていないにもかかわらず、彼女たちだけの必然が宿るのだと思う。

    でんぱ組は今もっとも強い「必然力」を持ったアイドルのひとつだ。
    でんぱ組にしか歌えない、でんぱ組が歌うからこそ意味があり、でんぱ組が歌うからこそ琴線に震わせる、そんな必然的な名曲を引き寄せ、歌い続けている。
    本来、でんぱ組の6人しかわからないパーソナルな物語が、作家の才能と、その才能を引き出した彼女たち自身のパワーと魅力によって、こうして誰しもが感情移入し感動できる爆発的なポピュラリティを獲得してしまう。
    これぞ、ポップソングのマジックだと思う。

    この曲こそ、早くライヴで観たい。

    ”W.W.D II”
    作詞:前山田健一 作曲:前山田健一 編曲:釣俊輔(agehasprings)
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