シグマフェス2013で松田聖子を観る

シグマフェス2013で松田聖子を観る

「なにしろ、初めてのフェス出演ということで緊張しております」と語っていたが、「初めて」の「フェス」という場にリスペクトが込められた本当に素晴らしいステージだった。
松田聖子という不世出のレジェンドが、言葉を選びぬきひとつひとつのMCをやり、シグマというレーベルに参加できていることの喜びとこのステージに立てる喜びを表し、誰もが知る代表曲を歌うたびに丁寧に頭を下げる。
その真摯な姿はどこかシュールなくらいで、観ているこちらが頭を下げたくなるほどの、本当に丁寧で行き届いたライヴだった。
あくまで推測でしかないけれど、きっと、それが初めて出場するフェスへのマナーだと考えたのだと思う。
スターがスターであり続けるための、至極まっとうな思慮深さを感じ、心底感動した。

「懐かしいバラードを聴いてもらってもいいですか?」と懇切丁寧に説明し歌い始めるのが”SWEET MEMORIES”なのだ。
すごい話だ。
また、”Rock'n Rouge”””天使のウィンク”といった代表曲はワンコーラス+リフレインというコンパクトなかたちで気持ちよく聴かせていくというセットリストも、会場にいるまさに老若男女のオーディエンスをひとりたりとも飽きさせないという思いによる選択だと思った。
一から十まで熟慮が重ねられている、そんなことを思わせるステージだった。

彼女は、何度も何度も「これからもシグマレーベルをよろしくお願いします。ファミリーの一員としてわたしもがんばります」と語っていた。
このステージを観て、彼女のファンにならなかった人はいないだろう。
それくらい、近くて、だがやはり眩しい、等身大のスター像を体現していた。
何をいまさらという話だが、超がつくほどチャーミングな人なのだ。ライヴを観るとそれが本当によくわかる。

誰より折り目正しい、これぞ矜恃を見せてもらった思いでいっぱいだ。
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